四本目 ページ46
「…以上の理由があるから、あんまり遅れないでほしいんだよ。分かった?」
「はい、理由は承知いたしました部長。ですが俺は他の部活にも顔を出さなければならないので演劇部だけを優先することはできません。なので俺が主役というのは考え直していただけないでしょうか?」
「駄目だ!お前が主役として適任なんだ!」
俺程度で適任なら他にも適任がいるだろうに。何だ、髪が緑色じゃないといけないのか?それとも凛とした雰囲気を出さなきゃいけないのか?ならやらせてもらうが。
「だって、お前が一番和服だろ!」
「”俺が一番和服”」
「…悪い。お前が一番和服似合うだろって言いたかった」
他に似合う人いるだろ。お前だって分家なんだから家では和服のはずだしな。
「部長も似合うと思いますけど」
「俺は演出側もしないといけないから主役にはなれない。当日は秋菜…妹にも手伝っては貰うが、それでも限界はある」
「他の方々は?」
「お前ほどじゃない。悔しいが、お前が主役を演じた舞台は先生方や周囲からの評価が高いんだ」
顔だけ見てる連中か。いや、それより俺は演技よりも演出希望として入部したんだが。
「ですが、以前部長が主演となった方が観客の入りは良かったではありませんか」
「いや。今回はコンクールだから評価の方を優先する。前回は優勝間近で逃したからな」
「それなら知っていますよ。緊張しすぎた前部長が大ポカをやらかして聖臨大学附属高等学校に優勝を取られたとか」
「…何でそれを知ってるんだ。まぁいい、知ってるなら今回はガチで優勝を取りに行くことも分かるだろ」
そこまでは理解している。理解はしているが、納得はできない。
「えぇ分かりますよ。それを知ってなおかつ、言っているんです。俺に演出・台本を任せていただければ優勝することは必然ですよ?」
「うるせぇ天才!確かにそっちも考えたけど、お前の演出に耐えられる奴が限られてるし理解が追い付くやつも限られてるんだよ!」
「あの、部長…私たちそろそろ…」
「ん?あぁ、木下さんと相田さんは塾があるんだったよね。気を付けて帰ってね」
「は、はい。失礼します!」
おい。こういうの”不公平”って言うんじゃないか?一応身内だし、敵だから強く当たられてるのはよーくわかるが。
「…佐藤君、高橋君、高島君!君たちもそろそろ帰っていいよ。俺は聡君と少し話して帰るからさ」
「あ、はい!」
「お疲れさまでした!」
「お疲れさま。気を付けて帰ってね」
「「「はい!」」」
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作者名:future*show | 作者ホームページ:
作成日時:2020年12月3日 17時