三回目 ページ38
「それよりさ。この子何も考えてないように見えるけど本当に跡取りなの？」
「この近辺に亜茶という苗字が他にいるか？もちろんオマエの言う”ちゃー君”以外で」
「ちゃー君は跡取り剥奪されてるでしょ。それでこの子が代わりになったと」
でもちゃー君は”一人っ子”だし、孤児院から頂いたのかな？だとしたら…
「さと君、亜茶家に干渉してたりする？」
「干渉…とまではいかないが、まぁそうだな。関わってはいる」
「じゃあさ、もしかして…亜茶家を立て直すために援助したり、このきよー君を孤児院から引っ張り出して亜茶家にあげたのもさと君？」
じゃないと年齢的におかしいもんね。血のつながった兄弟なら最高でも三歳じゃなきゃ。だってちゃー君が家出したのは三年前なんだから。
「詳しくは言えないが…そうだ」
「やっぱりー！さと君お人よしすぎだよ！？かぶ君のいた孤児院とかこの神社とかにも資金援助してなかった！？」
「力があるものが弱い物を救うのは当然だろう」
「…さと君”竹梅家の跡取り”って肩書き似合ってないよ」
いいことしかしてないもん。逆に悪いことが目立ってないだけかもしれないけど、一緒に居て悪いことをしたところや悪いことを考えたりしてるのは見たことがない。…入れ墨とピアスはどうかと思うけどね。
「今は似合ってなくてもいつか似合わせる」
「ううん、さと君はそのままでいいよ。それがさと君なんだからさ」
「…変な奴だな、お前」
「よく言われる！」
本当によく言われる！
「それで…きよ―君」
「…あぁ、何？」
「君何歳？小学校何年生？」
「…おれは九歳だよ。今は中学二年生」
あぁ、飛び級してるって情報は本当だったわけだね。…少し可哀そうだけど、大きい音を出してミソフォニアも確認しようかな。
「…秘。何か考えてないか？」
「え？やだなー、何にも考えてないよ？」
「本当に？」
「さと君おれへの信頼なさすぎない？おれがそんな事するように見えるのっ！？」
「見えるから聞いてる」
…さと君が近くにいるときは確認できなさそうだね。さと君はできるだけ怒らせたくない人ランキング上位に組み込んでるから…
「それでさ、跡継ぎって何してるの？おれ、さと君以外の跡継ぎって見たことないから気になるな」
「…何もしてないよ。ただ勉強をしてるだけ」
「へー。でも敵である竹梅家の跡取りと一緒に居るのを許されてるってことは結構緩いんだね」
「…それはおれ個人のわがままだよ。難しい”オトナ”の事情は関係ない」
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作者名：future*show | 作者ホームページ：
作成日時：2020年12月3日 17時
