二勝目 ページ21
「十分ですか」
「あァ。俺は神の家族よりも長く一緒にいるんだ。たとえ顔や声が変わってても誤魔化されることはねェぜェ?」
家族より長く…?いや、それより。
「ちょっといいですか?」
「おォ、どーしたァ?」
シレっと髪を触ろうとしているのを避けて話を進める。どうせ客は他にいないし、言った通りこの人からお金をもらうから給料を少し引かれても問題はない。
「その”神”って呼び方やめてください。たとえあなたにとってそうでもボクにとって笑君は笑君ですから」
「そりゃ悪かったなァ。青間様でいいかァ?」
「駄目ですよ。青間君または笑君です」
「…しょー君な。これでいいか?」
「はい。それでいいです」
ニコッと笑ってみせると、はぁ…とため息を吐かれた。…ボクは何か変なことをしただろうか。
「凹ちゃん。俺が言うのもなんだけど何で今まで女子だってバレてねェの?」
「ボク演劇部ですよ?それに、普通の人は女子が男子になってるなんて考えもしませんよ」
「水泳とかは?」
「【能力】の都合上入れないってことにしてます。まぁ嘘ではないですけど」
他人から【能力】をもらった副作用で、冷たいものに触れると肌が火傷したようにただれてしまうのだ。温水プールならまだいいけど、冷たいプールとなると話は別だ。そして男子なら水着は下半身を隠す程度であとは全て水に触れる。つまり下半身の隠れる部分以外は火傷跡のようになってしまうのだ。
「ふーん…店長!チョコパンケーキと紅茶追加でくれー!」
「分かった」
「め、珍しいですね。柳瀬さんがチョコケーキと紅茶以外を頼むなんて」
「甘いもんもっと食いたい気分になったんだよ。凹ちゃんも座れば?客こねェし、立ってたら疲れるだろォ?」
わざわざこう言うってことは…何か話があるのかな?
「じゃあ失礼しますね」
「何か注文するか?」
「しません」
「俺がさっき頼んだの凹ちゃんが一番好きなものだったと思うけど?」
「…」
ボクは確かに甘いものが好きですし、甘い物の中でもチョコレートが一番好きです。そしてチョコレートはチョコレートでも少し溶けてるチョコレートが本当に大好き!そしてそれと一緒に飲む紅茶はとっても格別…だけど、そんなに贅沢してたらすぐにお金が無くなるので最近は我慢している。
「チョコレートパンケーキと紅茶お待たせしました」
「サンキュー。凹ちゃんに食わせていい?」
「好きにしろ」
「はい店長の許可ゲットー!で、いいよなご本人?」
「もちろんです!」
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作者名:future*show | 作者ホームページ:
作成日時:2020年12月3日 17時