6.藤の花の匂袋 ページ7
師範は鬼と戦ったから疲れて動けない。私が怪我をしてしまったら、この子を安全に親のところへ送ってあげられない。
でも、絶対にこの子に怪我をさせてしまってはいけない。
A「痛くない...?」
おかしい...確かに鬼は私に向かって攻撃をしてきたはず。
女の子「お、お姉ちゃん...お兄さんが!」
A「え?」
後ろを見てみると、師範が私達のことを庇っていた。
A「師範!」
師範「すまない、鬼を倒すことができなくて...」
─────バタッ
鬼「わざわざ弱い奴を庇うなんて、無駄なことをするな」
大好きな師範に大怪我を負わせてしまった悲しい気持ち、鬼に馬鹿にされた怒りで私の心の中はぐちゃぐちゃになってしまった。
A「...許さない。絶対に倒してやる!」
鬼「ほぅ?やってみろ」
技は正直苦手で、壱ノ型がちゃんとできるかどうかのレベルだ。でも、ここでやらなければ全員助からない。師範の行為を無駄にはしたくない。
A「氷の呼吸 壱ノ型 垂氷!」
鬼「な、何?!」
何とか鬼を倒すことができた。
鬼「チッ、あと少しで...あと少しで喰うことができ...た」
首を切られた鬼はどんどん消えていっている。
女の子「お姉ちゃんありがとう!」
A「あなたが無事でよかった...」
泣いていた女の子を優しく抱きしめてあげた。
女の子「でも、お兄さんが...私のせいで...私が森の中に入って行かなかったら...」
A「あなたのせいではないから...」
師範の元へ行き呼吸や脈を確認したが、もう助けるのは難しいようだった。呼吸は浅く、出血が酷いので止血が間に合わない。
こんなに急な別れになってしまうとは思っていなかった。
A「今まで、本当にありがとうございます。お疲れ様でした...」
そう言い、手拭いで汗や血で汚れた顔を拭き、顔に布を被せた。
A「...!」
手拭いをしまおうとした時、何か小さい物を落としてしまった。それは、師範からもらった藤の花の匂袋だった。
A「匂袋...」
その匂袋は、形見として持っておくことにした。
A「お家まで送っていってあげるよ」
女の子「お姉ちゃん、ありがとう...」
女の子を送って行く為に、暗い森の中を進んで行った
まさか、町であの男に会うことになるとは思ってもいなかった
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心(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます!夢主は鬼になったちゃんでしょうか?応援してます! (2019年8月16日 13時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
つる(プロフ) - ゆきなさん» わざわざありがとうございます。気付きましたか!無理せず自分のペース頑張りますね (2019年8月16日 1時) (レス) id: 4e2fae6810 (このIDを非表示/違反報告)
つる(プロフ) - 天さん» わざわざありがとうございます。楽しんでいただけるように頑張りますね! (2019年8月16日 0時) (レス) id: 4e2fae6810 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 鬼になってますね!これからも無理せずに頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年8月15日 20時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
天 - 続きがとっても気になります!!! 楽しみ!(*≧∀≦*) (2019年8月13日 22時) (レス) id: de9e002270 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つる | 作成日時:2019年6月30日 19時