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「っ、!!」
息はありえないほど乱れていて、汗もびっしょりで、額に張りついた前髪をかき上げようとしたその手はふるふると震えていた。
飛び起きたせいなのか、はたまた。
「、っは、…ふ、ぅ…っ!けほ、っ」
寝室中に響いているのではないかと思うくらい心臓はドクドクと早足で動いていて、深呼吸をして落ち着かせようとするも息が変に引っかかって咳が出た。
口の中も渇いていて何度か唾を飲み込んで少しでも潤そうと試みるが、なかなか渇きは無くならない。
ベッド横の小さなテーブルに置いてあったペットボトルを引っ掴み、震える手でキャップを開けて水を飲む。
冷たくはなかったがおかげでちょっと落ち着くことができて、細く息を吐き出した。
…今の、夢。
夢と言うにはかなりリアルだったし、これまでとは違って自分の意思で動けてもいた。
そしてあの内容は、たぶん、いや、確実に俺の話をしていた。
いつもなら起きた瞬間内容なんて忘れるのに、今日のはリアルすぎたせいなのか、一言一句覚えている。
分かってる、優しいみんながあんなこと言わないことくらい。
分かってるけど、言ってたことはほぼ全部当てはまってた。
「…グループのために、動けてないのかな、俺」
確かに、クイズの成績を良くするのは自分のためかもしれない。
でもそれは、『Snow Man』の阿部亮平として名前を覚えてもらうためで、俺をきっかけにSnow Manを知ってもらうためで。
全部全部グループのためになるようにしてきた。
もっとみんなと高いところに行きたいから。「Snow Manってすごいよね」って、たくさんの人に認めてもらいたいから。
…でも、本当は言わないだけで。
「みんな不満、なのかな」
付き合いが悪いのも、忙しそうにしてる俺がなんか嫌なのも、振りを覚えるのが遅いのも。
_グループのこと考えてないんじゃないか、ってことも。
佐久間の声が頭に響く。
グループの仕事の時、楽屋でたくさん話しかけてきてくれてたけど、心のどこかでそう思われてたのかなあ。
そんな風に思いながらも話しかけてくれるの、改めて佐久間は優しい男だなと思うと同時に、俺みたいな奴に優しくするのしんどかっただろうなと思う。
そういえば今日の仕事はなんだっただろうか。
枕元に置いてあったスマホを手に取りスケジュールを確認した。
「……タイミングわる、」
今日の日付の欄には、『それスノ収録』と書かれていた。
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同期ゆり組担 - さんかっけいさん、ありがとうございました。とてもおもしろかったです!投稿、お疲れ様でした。 (2023年3月21日 20時) (レス) id: ecb79bbb8a (このIDを非表示/違反報告)
さんかっけい(プロフ) - 同期ゆり組担さん» リクエストありがとうございます。書かせていただきました!若干内容の差異はあるかと思いますが、ご満足いただけると幸いです! (2023年3月21日 16時) (レス) id: 354f0ed835 (このIDを非表示/違反報告)
同期ゆり組担 - またもや、リクエストよろしいでしょうか? あべちゃんが5人のお兄ちゃん達にわがままを言いまくって困らせてかまってもらう、というお話が見たいです。細かい設定はお任せします!よろしくお願いします! (2023年3月6日 23時) (レス) id: 67b27e02af (このIDを非表示/違反報告)
さんかっけい(プロフ) - 同期ゆり組担さん» こちらこそありがとうございました! (2023年2月23日 12時) (レス) id: 354f0ed835 (このIDを非表示/違反報告)
さんかっけい(プロフ) - Mさん» ご感想ありがとうございます(^^♪ 励みになります! (2023年2月23日 12時) (レス) id: 354f0ed835 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さんかっけい | 作成日時:2023年1月28日 3時