Last scene 菅原side ページ30
「…こんにちは」
「嫌そうな顔すんなよ。」
あまりのわかりやすさに、つい笑いが零れた。
バシ、バシ、と彼…月島の背中を叩くと、更に嫌な顔をされてしまった。
「おいおい、先輩が久々に来てやったんだぞ。嬉しくないのかー？」
「嬉しいです。でもライバルとしてはとても嫌です」
「お前素直になったなあ」
そう。こいつ、まだAのことを諦めていない。
…いや、正しくは違うかもしれない。
再び火がついたと言う方が合っているのか、まぁ…そんな感じらしい。
かなりサラッと
しかも俺に宣戦布告するもんだから、つい俺もサラッと流してしまいそうになった。
嘘。一瞬流した。すぐ聞き返したけどな。
『そうだ、僕あなたの彼女また好きになっちゃったんで、気を付けてくださいね』
『うん。………………エッ！？』
あれほど心臓に悪かった出来事はないと思う。
かと言ってAはマネージャーだし、ドリンクとかタオルを渡したり、スコア表を確認したり、何かしら接点があるのは本当に仕方ないことだ。
俺だって、束縛なんてしたくないし。
だけどその都度心配になってしまう。Aは愛想も良いし可愛いから。
あの時の合宿も、青城の奴らに大量のお菓子貰ったって聞いたし。
「お、A。」
体育館扉からシューズに履き替えて入ってくる彼女が見えて、思わず声が出た。
俺がそんな風に言うもんだから、月島もそっちに目をやる。
「…孝支くん！」
俺を見つけたAはにこっととびきりの笑顔で名前を呼んだ。
…クッソ、可愛い。何を思ったのか月島は微妙な顔だ。どうだ、可愛いだろ俺の彼女は。
「…いいですね、あんな彼女」
「絶対やんねぇ」
「どうだか」
根拠なんてない癖に、フッと余裕な笑みを見せる月島。
俺は相変わらず振り回されている。
fin.
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作者名：ちゃんきき | 作成日時：2018年5月6日 10時
