レッスン86【os】 ページ46
「…うぅん」
「ん?なんや、俺の顔に何か付いとるんか??」
「あ、いや…そーゆー訳じゃないけど…」
「…なしてそんなジロジロ見とるん??」
私はマンちゃんの頭の先から爪先まで
じっくりと観察した。
それを不審に思ったのか、彼は少し眉間に
シワを寄せている。
「どうしたらそんなに身長伸びるのかなって」
「…ロボロみたいな事言うてるやん」
「別に私が言ってもいいでしょー??」
「いやぁ、珍しいと思ってな」
いくらブーツを履いているとはいえ
中々の高身長だ。
彼と話す時も、彼を見上げる様にしなければ
ならない。
「私ももっと背ぇ高くなりたいんだよね」
「女の子はちっちゃい方が可愛ええよ??」
「いーや、高身長の方がいいね!!
だってスタイルよく見えるじゃん!!」
「あ〜…まぁ、足は長く見えるんやろうけど」
小さい頃から牛乳をよく飲み
それなりに背を高くしようと意識はした。
だがその願いも虚しく、理想の身長には
届かなかった。
「もっとおっきくなりた〜い!!」
「ん〜…Aくらいのが一番ええと
思うんやけどなぁ??」
そう言うと彼はポン、と私の頭に手を
乗せ呟いた。
「ほら、よくあるやろ??
キスしやすい身長とか、抱き締めやすい身長
とか…色々あるやん」
「ま、まぁ…そうだけど。
それは相手との身長差によって変わるでしょ」
「俺はAぐらいが丁度ええの、
それじゃあかん?満足せぇへん??」
静かに微笑みながら、彼は自分の腕の中に
私をスッポリと収めた。
彼の体温と鼓動がよく伝わってくる。
「…ぁ、えっと…満足、です…」
「ふふっ、なに今更照れとんの??
可愛ええ奴やなぁ、A」
「なっ…なんか無駄に説得力ある
マンちゃんが悪いっ!!」
私は恥ずかしさで赤くなっているであろう
顔を見られないように彼の胸へと沈める。
…ああ、なんだか最近は変に意識しちゃう。
幹部のみんなが優しくて、カッコよくて。
「…まるで小説の中に入っちゃったみたい」
「んー?何か言ったかA??」
「な、んでもない!!
ってゆーか、そろそろ離れて?!」
そう言っても「嫌や」などと駄々をこねる
マンちゃん。
このギャップが私を良い意味で苦しめるの
だから、困ったものだ。
「今日のおやつはマカロンにするから!!」
「…しゃあないな?」
途端にパッと離れた彼は上機嫌なようで
鼻歌を歌いながら食堂へと向かっていった。
「…はぁ、私どうしちゃったんだろ」
─────
-os side-
「…俺じゃ、満足やないんかなぁ…」
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