レッスン69【sha】 ページ29
「なあ、Aは俺と仕事…どっちが大切?」
「仕事だね」
自室で仕事を片付けている最中、
急に押しかけて来たと思えばこれだ。
暇を持て余したついでにでも来たのだろう。
「…それ本気?マジで言ってんの??」
まさか即答されるとは思って
いなかったのだろう。
彼は少し動揺しているように見えた。
「本気だって言ったらどうする??」
「…妬く」
「仕事に?w仕事に妬くの??ww」
「だって!!俺は…常にAの一番がいいし」
俯き、恥ずかしそうにボソボソと呟く彼。
私は手を止め、彼に向き直った。
「うん、シャオちゃんは恋に一生懸命だね」
「は…?なに、急に」
「シャオちゃん、今…好きな子居るでしょ??」
「そ、れは…その…」
どうやら図星のようだ。
「シャオちゃんは真っ直ぐで、その子に
振り向いてもらおうと必死だけど。
このままだと、いつまで経っても気づいて
もらえないよ??もっと大胆に行かなきゃ」
「いやでも…俺らしくないし…」
先程までの威勢の良さは何処へやら。
まるで飼い主に叱られた仔犬のように
しゅん、としている。
「そんなのどうでもいいの!!らしくないとか
考えちゃダメだよ…女の子はね、普段とは
違う彼にドキドキしちゃうもんなのよ」
「…Aは、ドキドキするん??」
「当たり前じゃない!キュンキュンして
堪らなくなっちゃうと思うな!!」
小説に出てくる女の子はいつもそうだ。
普段は内気な性格の彼が
急に大胆なことをしてきたら…
驚き、そしてドキドキするだろう。
「だから、もっとアピールしても
いいと思うよ?
努力は実を結ぶって言うでしょ??」
「…ん、頑張ってみる……」
これで少しは彼も自信を持てただろうか。
普段は明るくて、暇さえあれば人を
煽りに来る彼なのに。
恋の事になると…ここまで内気になるとは。
「…で、私の部屋に来たのは?
その理由だけじゃないでしょ??」
「…怒らないって約束する?」
「怒らないよ〜!!怒るような事をしたなら
別だけどね」
彼は言うのを躊躇ったようだが、
どうやら決心したようだ。
「Aに…会いに、来た……」
「えっ、それだけ??」
「それだけ、です…」
沈黙。
…を破ったのは私だった。
「なぁんだ〜!そんなの怒るわけないじゃん、
態々気ぃ遣わなくていいから、
いつでもおいでよ!!いつでも暇つぶしに
付き合ってあげるから」
「…ッ!!お、おう、」
「今まで遠慮してたんだねぇ、可愛い…」
「…うるせ、」
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