レッスン67【zm】 ページ26
「Aごめんって。
もう二度とこんな事せえへんから」
「…それ言ったの何回目??」
「……9回目です」
マグマ流しの常習犯、ゾムは
私の真上にマグマを垂れ流してきた。
それを間一髪で避けたのはいいものの、
私の大切な本が焼け、消滅してしまった。
「今日は晩御飯抜きです」
「やめっ、あの、すんませんホンマに…
我儘言って申し訳ないんすけど、あの〜
飯だけは食わせてくれませんかね」
「ダメです」
「うっ…そのー、大切な本って…
どんな本やったん??」
どの小説よりも…何よりも大切な一冊の本。
汚さないように、傷付けないように
大事に大事にしまっていた本。
「…昔、仲良しだった男の子に貰ったの。
もうその子の名前も、顔すらも
覚えてないけど…それは私が初めて貰ったもの
だったから」
「そっか…本の名前って、なんやったん?」
「…シンデレラ、誰もが知ってる、
あの有名なお話。私が初めて読んだお話」
─────
「なあなあA!これ、お前にやるよ!!」
「わあっ、この本なあに??」
「シンデレラって言うんやで、
俺が読んだろか??」
「いいの…!?あ、ありがとう、**くん!!」
私がまだ小さい頃、文字を読むことが
出来なかった私に…その本を
読み聞かせてくれた一人の男の子。
「面白かったぁ…本って、文字がいっぱい
あるけど…その中にはたくさんの世界が
広がってるんだね!!」
「せやで、他にもたくさんのお話があるから
今度別のお話聞かせたる!!
…あと、その本やるよ」
「えっ…でもこの本は**くんの…」
「ええって、Aに持ってて欲しいんや」
ニッと歯を見せて笑う彼の顔が、
ぼんやりと思い浮かぶ。
しかしやはり曖昧で、
ハッキリとは思い出せない。
「大きくなったら、この本返すの!!
そしてね、また二人で読むの、次は私が
**くんに読み聞かせてあげるね!!」
「…っはは、待っとる…
いや、俺が会いにいく!!」
─────
それ以上は思い出せなかった。
無理に思い出そうとしても無駄だった。
「う〜ん…やっぱりそこから思い出せない」
「…そっか」
ゾムは少し寂しそうに眉を下げたが
すぐにぱっと顔を上げ、
「ところで飯は…」
「ありません」
─────
待っとる…いや、俺が会いにいく!!___
本当は此方から会いにいくはずだった。
だが、まさか向こうから来てくれるなんて。
__うん、待ってるね!
「…待ちくたびれたんか、A」
「シンデレラな…また今度聞かせたるから」
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あおりん(プロフ) - Aの化身さん» 私は日々疲れているんだよ(適当) (2019年4月23日 21時) (レス) id: d835d0636f (このIDを非表示/違反報告)
Aの化身(プロフ) - 最近更新の波に乗ってるな…そうか、疲れたか(すっとぼけ) (2019年4月21日 20時) (レス) id: dad4428741 (このIDを非表示/違反報告)
あおりん(プロフ) - はっちゃんさん» イケシマ最高だよね(自画自賛)応援ありがとー!! (2018年7月16日 14時) (レス) id: 3b5af45ab7 (このIDを非表示/違反報告)
はっちゃん - イケシマ最高だね。応援する (2018年7月16日 13時) (レス) id: 73631aae6a (このIDを非表示/違反報告)
あおりん(プロフ) - シオンさん» ありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです…!!更新頑張ります!! (2018年7月15日 18時) (レス) id: 3b5af45ab7 (このIDを非表示/違反報告)
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