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レッスン65【ut】 ページ24

窓辺で煙草を吸う、着崩れたスーツ姿の男。
私は気付かれないように、
そっと背後に忍び寄る。
そして勢いよくその男に飛びついた。


「だーいせんせっ!!」
「はいぃぃぃ!?…って、お前かよA…」
「ふふん、吃驚した??」
「うん、突き落とされるかと思ったわ」


相変わらず彼は煙草臭い。
しかし、微かに香水の香りがする。


「…また女の子とデートして来たの?」
「いや、元カノに少し絡まれただけやで…
ホンマ鬱陶しい女やわぁアイツ」
「へぇ、珍しい…大先生がデートしないなんて」
「最近はデートしてへんで?誘いはするけど」


そう言われてみれば…確かに最近の大先生は
あまり外に出ない気がする。
仕事はしてないけど、女の子と頻繁に会うって
ことはしてないな。


「どうしたの?なんかあった…??」
「えっ、なんでや」
「だって大先生がデートしないなんて…」
「お前失礼やな!!w」


彼は先程よりも短くなった煙草の火を消し、
窓の外へと向き直った。


「…好きな子ができたんや」
「え、そうなの!?また?」
「またとか言うなや、今までの女は遊び。
その子は…ホンマの本命や」


うっわぁ…屑じゃん、と内心思っていたが
その言葉はどうやら口に出して
しまっていた様で
「うるせ、」と怒られてしまった。


「でもな、その子は周りから
結構モテとんねん…せやから頑張らんと
その内誰かに取られてまうかもしれへんなぁ」
「そっか…じゃあ頑張らないとね。
…ところで、大先生はその子の
どこに惹かれたの??」
「ん〜せやなぁ、色々あるけど…」


そこまで言って、少しの間があった後。
彼の長い指が、私の頬へと伸びる。


「…強くて、優しくて、自分よりも
他人の幸せを願う…でもそのせいで危険な目に
あってもうて、誰かが傍に居らんと
すぐに死んでしまいそうな子」
「……なにそれ、強くてすぐ死にそうって
矛盾してない??」
「まあそうかもな…
でも、ホンマにそーゆー子なんやで」
「ふぅん…」


だけど、そう言う彼の目は至って真剣で
嘘を言っている様には見えなかった。


「応援するよ、大先生の恋…頑張ってね!!」
「…ふ〜ん、任せときや、この俺が必ず
落としてみせるぜ」
「調子乗ってんなぁ‪w‪w」


…恋かぁ、私もいつかするのかな。
片想いって、嬉しい事ばかりじゃないって
聞くけど…実際どうなんだろう??
─────
「頑張れ」と言い残し去っていったA。
その姿を見て、俺は大きくため息をつく。


「鈍感すぎるのも良してや、阿呆」

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あおりん(プロフ) - Aの化身さん» 私は日々疲れているんだよ(適当) (2019年4月23日 21時) (レス) id: d835d0636f (このIDを非表示/違反報告)
Aの化身(プロフ) - 最近更新の波に乗ってるな…そうか、疲れたか(すっとぼけ) (2019年4月21日 20時) (レス) id: dad4428741 (このIDを非表示/違反報告)
あおりん(プロフ) - はっちゃんさん» イケシマ最高だよね(自画自賛)応援ありがとー!! (2018年7月16日 14時) (レス) id: 3b5af45ab7 (このIDを非表示/違反報告)
はっちゃん - イケシマ最高だね。応援する (2018年7月16日 13時) (レス) id: 73631aae6a (このIDを非表示/違反報告)
あおりん(プロフ) - シオンさん» ありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです…!!更新頑張ります!! (2018年7月15日 18時) (レス) id: 3b5af45ab7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あおりん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年7月12日 22時

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