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レッスン63【gr】 ページ22

「A、今日こそはデートしよう!!」
「仕事終わってからね?」
「…チッ」
「舌打ち!?舌打ちしたよこの人ぉ!!?」


このやり取りも本日三回目。
いい加減仕事を片付けて欲しいものだ。


「あのねぇ…そんなしつこかったら、好きな子に
嫌われちゃうよ?」


何気なく放った言葉だったが
どうやら彼には刺さったらしい。


「…あんまり誘うのは良くないのか?」
「当たり前でしょ、いつかウザイって
思われるかもよ??」
「う…あ、Aは嫌か??」
「私は…まあ、好きではないよね」


すると彼は、サーッと血の気が引き
深々と頭を下げた。
彼の唐突な行動に、私は驚きを隠せない。


「…すまなかった、てっきり俺は、その…
Aも俺とデートしたいのかと思ってて…」
「えっ!?いやいやいや、私は別に大丈夫だよ!?
迷惑だとか、ウザイだとか思ってないから!!」
「……ほ、本当か??」


彼は申し訳なさそうにしつつも、少しだけ
頭を上げた。


「本当だよ。私はただ…グルちゃんに
困って欲しくなかったから」
「困る…??」
「だって、仕事しなかったら
トン氏に怒られるもん、
そんなの誰だって嫌でしょう??
だから先に仕事を終わらせて、
その後に出かけようって思ってたの」
「そ、そうだったのか…」


彼はぎこちなく身体を起こす。
いつもは冷静なグルッペンが、こんなにも
焦った表情をしているなんて…見た事がない。


「…なあ、A、また誘ってもいいか??
……デートの」
「ふふ、勿論よ!!私だって、
グルちゃんとお出掛けしたいもの…
甘い物食べて、一緒に本読んで、
それから世界について教えてもらうの!!
楽しいと思わない??」


そう言えば、彼はぱあっと笑顔になり、


「そ、そうか…!よし、今から仕事を片付けに行くゾ!!」
「…うん、頑張れグルちゃん!!」


総統室へと駆けて行った。
─────
バタン、と扉の閉まる音がしたのを確認し
俺は喜びに浸っていた。
毎回断られるものだから、てっきりもう
ウンザリしているのかと思った。


「嫌じゃないって、行きたいって…言ってくれた」


彼女の言葉が、俺の脳内でリピートする。
そして自然と笑みが浮かぶ。


「…ふん、アイツらには邪魔させん…見ているが良い」


ふかふかのクッションが使われている
その高級な椅子に深々と腰掛け、
俺はペンを走らせた。

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あおりん(プロフ) - Aの化身さん» 私は日々疲れているんだよ(適当) (2019年4月23日 21時) (レス) id: d835d0636f (このIDを非表示/違反報告)
Aの化身(プロフ) - 最近更新の波に乗ってるな…そうか、疲れたか(すっとぼけ) (2019年4月21日 20時) (レス) id: dad4428741 (このIDを非表示/違反報告)
あおりん(プロフ) - はっちゃんさん» イケシマ最高だよね(自画自賛)応援ありがとー!! (2018年7月16日 14時) (レス) id: 3b5af45ab7 (このIDを非表示/違反報告)
はっちゃん - イケシマ最高だね。応援する (2018年7月16日 13時) (レス) id: 73631aae6a (このIDを非表示/違反報告)
あおりん(プロフ) - シオンさん» ありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです…!!更新頑張ります!! (2018年7月15日 18時) (レス) id: 3b5af45ab7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あおりん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年7月12日 22時

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