オトナリサン。 2nd (ページ5)

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【51】毒づく案内係。ページ5

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「あ、お手洗いって何処ですか？」

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帰る直前になって二宮和也が声を出す。

･･････イヤな予感しかしない。

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「ここの廊下を真っ直ぐ歩いて─────あ、瀬名。ご案内して差し上げて。」

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･･････やっぱり的中する、イヤな予感。

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編集長の言葉に、二宮和也はニヤリと笑って「すみません、お願いします」と呟く。

･･････すみません感、全然漂ってないけど！

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「ご案内します、こちらです。」

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けど人目もあるし、さすがに拒否出来なくて仕方なく二宮和也を連れて行く。

･･････絶対トイレに行きたいなんて思ってないだろ、と心の中で毒づきながら。

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「こちらです。」

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トイレの前に着いて、そのまま先に戻ろうと歩き始めた。

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「･･････ねえ。」

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でも二宮和也が私の腕をグッと掴んだから、引き戻されてしまった。

それもヒールのせいで脚がよろけて、二宮和也に支えてもらってる。

･･････本当に、最悪な態勢。

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こんな姿、絶対に見つかっちゃいけない。

何事もなかったかのように、そそくさと二宮和也から離れた。

･･････掴まれた腕以外は。

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「俺はずっとあのままでも良かったのに。」

「私はよくありません。」

「相変わらず意地っ張りだねえ。もっとオトコに甘えればいいのに。」

「アナタには何があっても甘えませんから。」

「俺は大歓迎よ？」

「･･････あの、トイレ行かないんですか？」

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自分から言ったくせに、トイレに向かう気配ゼロの二宮和也。

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私は一刻も早く、この場から逃げたいのに。

･･････なかなか振り払えない腕を掴む手に、オトコの力を感じて憎たらしい。

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「腕離してくれませんか。身動きが取れないんですけど。」

「じゃあこのまま一緒に戻ろっか。」

「ふざけないでくださいよ！そろそろ怪しまれるので先に戻ります。離して下さい。」

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私の精一杯の全力で振り払うようにして、二宮和也から離れる。

そしてそのまま逃げるように、編集長たちが居る場所まで向かった。

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･･････走りながら、背中で二宮和也の含み笑いを聞きながら。

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