【Fischer's/マサイ】お隣さん

01.帰り道 ページ2

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『あーーーー、気持ち悪。最悪………』



トレンチコートの出番も少なくなってくる5月。

先月入社した大卒の彼らのために、毎年決まって行われる新入社員歓迎会の帰り道。



"新入社員歓迎会"という名目なだけで、実際はオジサンたちが奥さんに怒られずにただ存分に飲む口実が欲しいがためにセッティングされた飲み会だ。

そんなオジサンたちに散々付き合わされて、やっと解放されたのは終電もとっくに終わっている深夜1時過ぎ。いや、もうほとんど2時前だ。

幸い、会社の近くに住んでいるから、タクシーを使ったとしても料金はたかが知れている。





わたしが自由気ままな一人暮らしということは同じ部署のみんなが知っているし、こんな深夜に女一人で帰ることを心配されるような年でもない。残念ながら。


悲しいかな、アラサー。



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『はぁ……』



金曜日の、しかも終電も終わっている時間ということもあり、なかなか捕まらなかったタクシー。


歓迎会中、なんとも初々しい新入社員の女の子たちの可愛さやキラキラ感。


そんな新入社員はデレデレに可愛がりつつ、わたしに対しては遠慮のない発言や態度、そしてセクハラとも言えそうな酔っ払いによるボディタッチ。



そもそも、今日はそんな新入社員のミスなどを1日中フォローしていたから、自分の仕事にほとんど手がつけられなかったのだ。

お陰で週明けの仕事の量を考えると先が思いやられて、今から頭が痛い。いや、今頭が痛いのは確実にお酒とタバコと気疲れのせいなんだけど。




まぁそんなわけで、今日1日の積み重ねられた疲労とモヤモヤに、散々オジサンに飲まされたアルコールが回って、気持ち悪さと変な虚しさみたいなものも相まって、無意識に深いため息が零れてしまったのだ。



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