気づいたら乙女ゲームのモブになっていた件【降谷零】

第19話 ページ22

紬side
ｺﾂｺﾂｺﾂ
寮の廊下に歩く人物＿＿それは降谷零だった。
「いやー、人間ってやっぱりおもしろいね、」
その口調でそれは降谷零じゃないということはわかる。
『あなたね？うちのAたちの初々しい恋物語に、ちょっかいかけたの。』
鈍感レベルが昔から完凸の彼女が告白なんてするはずがない。

すると降谷零は、みるみる変わり、白髪の、少年のような姿になる。金色の瞳、白い髪、浮世だった顔立ちの少年だ。
『やっぱり、神の仕業だったの。』
「うん！だってぇ、あのままじゃ次のゲームが始まるまでにくっつかないでしょ？春の女神たちが何とかしてこいって〜うるさくってぇ。」
わざとらしい言い方にいらっとする。

『おもしろそうだから、でしょ？』
こいつら神はいつもそうなのだ。
「バレちゃう？でも、春の女神が言ってたのはホント。」
参ったとばかりに手を上げる神。
『私のAに手を出すなと言ったでしょう？でも…今回はあの娘が幸せそうならいいよ。』
「…彼女のどこに君を魅了する魅力があるのかねー。たしかに顔立ちは整ってるけど。」
意味がわからなそうに神はいった。
神にはわからなくていい。彼女の魅力を。あの魔法を。

「で？諸伏くんの攻略はどーお？」
からかうように言う神。はぁ、と私はため息をつく。Aのようにはいかない。ヒロインが、ヒロインのお名前がいるから。今回のルートは、どうやら降谷ルートだったが、Aのおかげで、無事に失恋させることができたのだ。降谷ルートの結末は幸せルートではない。今回、降谷はAに好意を寄せたから失恋させることができた。

『無理よ。彼はヒロインのお名前に夢中よ。だから…』
「くふふ。それはどうかなぁ？ヒロインは今松田くんに揺れているようだけど？」

なんだって？あのヒロインにはあきれたものだ。性格は嫌いじゃない。だけど、コロコロと好きなやつを変えるのは少しいやかなり抵抗がある。
でも＿＿
『松田ルートならこのまま進んでも安心ね。』
彼はヒロインによって生かされる。
「さぁもうすぐ続編の青春！警察官物語の開幕だよ！」

そう、この話は終わらない。今度は乙女ゲームのくせにかなりバイオレンス要素が入っている。監督が変わったとか何とか。

「ヒロイン、ゲームマスター(紬)そしてトリックスター((名前))どんな話になるかなぁ？」

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