1☆4$・【うらたぬき】 (ページ10)

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☆ ページ10

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それは突然だった。
見ていた歌番組は音が消え
昔の記憶が蘇ってくるように次々と
映像が流れ出す。

｢うらたくん！
テレビでねアンゴウってやってたの｣

｢アンゴウ？｣

｢そう！ふたりだけのヒミツつくろ！｣

いつしか視界は閉ざされテレビの映像どころか
目の前の風景すら見えない。
見えるのは、ぼんやりとした記憶と子供の会話

それを息するのも忘れ、瞬きをするのも忘れ
一瞬たりとも逃さないよう記憶の波に身を任せた。

｢Aたちカンジかけないでしょ｣

だから、キゴウにしようとおもいます！
そう言って｢じゆうちょう｣と書かれたノートを
開き緑のクレヨンで習いたての平仮名を書いていく少女

｢きのうおかあさんがおしえてくれたの！｣

｢それじゃふたりだけのヒミツじゃねぇじゃん｣

｢あ、｣と零すも｢Aちゃんとかんがえたもん！おかあさんもわからないよ｣といって
鼻歌を歌いながら【あ】から【ん】まで
濁点や半濁点の表を書き上げていく。

あぁ、そうだ。

思い出したんだ。
数十分前に届いた“迷惑メール”を開き
ベランダに飛び出した。

黒から見える青には光が散りばめられていた。

秘密の暗号
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