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彼は退屈そうに携帯のゲームアプリを起動し、慣れた手つきで器用に操作している。
長いまつ毛、ふわふわで柔らかそうなピンク色の頭、可愛らしい顔立ち、割と小柄な体型。
(もしかして、この人…)
「さっくーん！」
声をかけようとした瞬間、私の前を通り過ぎた女の子が先に彼を呼んだ。
さっくん、そう呼んだ彼の隣に座ってにこにこしている彼女は、
目が大きくてお人形さんみたいな顔立ちだ。
髪もゆるくウェーブがかかっていて、ピンクと白をモチーフとしたネイルがとても綺麗。
(わぁ…すごく可愛い女の子……！)
綾芽ちゃんもはっきりとした顔立ちでオシャレだから男の子から好かれてるしとっても可愛いけれど、この子も負けないぐらい可愛い。
洋服もフワフワしたピンク色の花柄のワンピースでよく似合っている。
「さっくん、この後空いてる？2人で抜け出そうよー？」
そう言って彼の腕に自分の胸を押し当て上目遣いで聞く彼女。
その光景にこちらが恥ずかしくなってしまい思わず目をそらす。
この場から立ち去りたいものの、
今のタイミングで席を外すのはあからさますぎて逆に恥ずかしい。
どうしていいか分からず固まってしまう。
「あー、俺この後予定あるんだぁ〜ごめんねぇ」
彼女の頭をぽんぽんと優しく撫でる"さっくん"と呼ばれた彼。
それが嬉しくて満足したのか彼女は笑顔で
「じゃあまた今度遊ぼうね？」と言ってどこかへ去っていく。
私だって伊達に少女漫画を読んでいない、
このふたりはきっと恋人として付き合ってはいないのだろう。
刺激の強いやり取りが終わりほっと息をついていると、彼に「ねぇ」と声をかけられた。
効果音がつきそうなくらい、体がびくりと跳ね上がる。
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作者名：おか | 作成日時：2021年7月3日 1時
