ラブトリック【桃】 (ページ2)

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会場は都内のクラブハウスだった。

ダンスサークルなだけに派手なオフ会というものに驚きつつも
これがこのサークルのやり方なんだろう。

そう思い、なるべく絡まれないように目立たないように端の方のソファの席で一人、
まだ一口しか飲んでいないカシスオレンジの入ったグラスを揺らしていた。

伊吹ちゃんはダンスサークルに仲のいい女の子の友達がいるから挨拶に行っている。

環ちゃんはというと、もともと飲み会のようなものが好きではないからこの場に来ていない。

綾芽ちゃんと彼女の友達二人は、
例の先輩を探しに行っていて、私も見つけたら連絡するという約束をしている。

その先輩は『佐久間大介』さんと言うらしい。

小柄で可愛い顔立ちをした男性、そう教えてもらった。

「私、ちゃんとお話できるかな…」

正直、男性と話すのは緊張する。

女子校出身でろくに男性と話したことのない、
少女漫画に夢みてまともな恋をしたことのない私には、
男性と会話をするのはハードな問題だ。

思わずため息が出る。

すると、一人の男性が私の前を通り過ぎて隣にすとんと座った。

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