後悔 ページ17
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美里「……テソン…もう、大丈夫?ちゃんと元気?」
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どうしても気掛かりになっていたことを、美里は問い掛けた。
事故のことをはっきりと口にするには苦しいために、敢えてその言葉を省いて。
問い掛けに、テソンは一度目を丸くして首を傾げる。
そして、その問い掛けの意味を理解するとテソンは表情を笑顔に戻したが
テソン「美里さんは、優しいですね」
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美里「(……あ、)」
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その笑顔は笑顔でも、どこか苦しそうで
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テソン「心配してくれてありがとう。僕は大丈夫ですよ」
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美里「(――聞くんじゃなかった。)」
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その笑顔に胸が苦しくなった美里は、テソンを直視出来ずに俯いた。
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美里「(私のばか、ばかばか)」
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美里「(テソンのこんな笑顔、見たくなかったのに)」
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美里「(なんで、聞いちゃったの、ばかばかばか!)」
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テソン「美里さん、大丈夫ですかー?」
俯く美里の頭を、テソンは撫で続けて様子をうかがう。
そんなテソンに、美里は力無く小さな笑い声を溢した。
美里「(テソンの方が、私よりも何倍も、何十倍も何百倍も辛いはずなのに)」
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テソン「泣かないで下さいよー。みんな、笑ってる美里さんの方が好きですよー」
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美里「(自分のこと構わないで、私を慰めてくれるなんて)」
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美里「優しいのはテソンだよ」
テソン「え?」
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美里が口を開く。
問い掛けて直ぐに生まれた後悔と共に涙を拭い払って、ゆっくりと顔を上げてテソンを見つめた。
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美里「…辛いこと聞いちゃって、ごめんね。私も、笑顔のテソンが大好きだよ」
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作者名:かどかど | 作成日時:2012年2月4日 15時