検索窓
今日:59 hit、昨日:28 hit、合計:22,732 hit

今は、まだ 後編 ページ49

(Aside)

『また会えるやんなっ…っ?』

大晴「いつか、な」

『そんな…っ?』

部屋のドアを出てこうとするたいちぇの前で、
おれは、テーブルの上に乗ってた夕飯の小鉢を、
わざとひっくり返した。

きょとん、として見てるたいちぇ。
『おれ、っ…っわざときらいなもんこぼしたでっ…
…たいちぇ…っっおこってやっ…!』

困った顔で微笑む。
大晴「怒られへんて。もう俺、これから、
Aの近くで成長見守れへんから、
責任持ってフォローできひんから。
怒る資格ないわ」

『っっ〜〜〜っっ』
涙がぶわっと溢れてきた。


たいちぇがドアを出ようとするから、
おれが一歩前に出た。

大晴「あ、A、もう門限過ぎてるやろ?
付いてきたアカンで。」
ニコッと笑って、
ドアの外にたいちぇの足が踏み出した。

『たいちぇぇ…っ…』

後ろ姿で言われた。
大晴「じゃあな、また来るわ。夜ふかしせんと早よ寝るんやで?A」
いつもと変わらんこと言うて、
パタン、とドアが閉まった。










おれは呆然と立ち尽くして、
しばらく涙がボロボロこぼれるまま、
涙も拭わんとそこに居た。






少し寒なってきて、

ふと後ろを振り返ったら、
カーテンレールに、ハンガーに掛かって1個だけ。
いつも見慣れたたいちぇの部屋着のスウェット上下の上、
おれといっしょ寝てくれるときの
触り心地好きなスウェットが、
忘れられて掛かってた。


おれはすぐにLINEを送った。
『たいちぇ、スウェットわすれてんで』


そのLINEは、いつまでも既読にならんかった。




おれは、そのスウェットをハンガーから
外して、ぎゅっとした。
それから、着てみた。

めちゃめちゃぶかぶかで大っきい、
たいちぇのスウェット。
袖から手も出えへん。



いつか、これがピッタリなるぐらい
おれも大っきなるんやろか。


おれに、
大っきなったな、言うてぎゅっとしてくれたたいちぇを
思い出して、自分の腕でぎゅっとした。
『…たいちぇぇ…っ…だいすきっ…っ…っ…
……っずっといっしょ居たかったぁぁ…っっ…
…これっ…っおれがっ…ふつーにっ…着れるぐらいっ
大っきなるまでっ…っいっしょっ…っ居たかったのにぃぃっ…』
泣きながらしゃがみ込んで、
おれは、大好きな安心する香りに包まれた。
今はまだ、そうしてたくて。
お兄ちゃんのたいちぇに甘えるAで、居たくて。



(完)

終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)


←今は、まだ 中編



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (23 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
75人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

めぐみ(プロフ) - Xフォロリクしてくださる方、ありがとうございます、公式垢フォローしていない鍵垢からフォロリクお願い致しますm(_ _)m (1月18日 16時) (レス) id: 7e6c597a49 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - ぬまさん» はじめまして。コメントありがとうございます。6人のままだった過去の空野くんのお話も書ける元気が出たら書きたいです。Xのアカウントありますよ。シリーズ15の「リクエストについて」にXのDMのリンク貼ってあります。 (1月4日 16時) (レス) id: 7e6c597a49 (このIDを非表示/違反報告)
ぬま - めぐみさんはじめまして。めぐみさんのお話すごく大好きです。これからもお話書かれますか?できればまだ6人のままのお話書いていただきたいです。あと、Xとかインスタのアカウントなどありますか?またお話読めるの楽しみにしています。 (1月4日 1時) (レス) @page49 id: 55091354e3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:めぐみ | 作成日時:2023年11月25日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。