A! と驚く僕の夢18

一緒がうれしくて（誠也/空野）3 ページ39

(リチャside)

しばらく俺が背中を撫でて、
ようやく泣き止んだAの目を冷やし終わって、
本番前、ステージに向かうまでも、

末澤は完全にAを視界に入れへん。





『せ、せーやくん…あの…っせーやくんっ……』
直前まで末澤のすぐそばを付いて回ってたAやけど、

諦めてスタンバイの場所に向かった。











(Aside)

本番中、ステージの上ではちゃんと
誠也くんと目が合った。
笑い掛けてもくれた。


それやから、少しホッとして、
本番終わって捌けて、

せーやくんとこ行ったら、

何も言わんと、フイッと顔を背けられた。





そんな…！




『せーやくんっ…せーやくんごめんなさい…っ』
泣きそうになって、

衣装から着替えたばっかのせーやくんの
シャツの裾を引っ張って、
早足のせーやくんになんとか
小走りで付いて行く。

『せーやくん…っ…ごめんなさいぃ…っ』

誠也「知らん、て。遅刻するとき「頭痛い」なんか嘘つく子はもう知らん。」

『ごめんなさいっ…ふぇぇぇぇんっ』
必死に付いて行っても
こっちも見てくれへんで後ろ姿が遠くなる。








小島「何？A、どないしたん？何泣いてるん」

すぐにけんちゃんが近くに来てくれて、

せーやくんは先行ってしまった。

『せ、っ…っ…せーやくんがぁっ…っ「しらん」てぇっ…』
けんちゃんの顔を見上げたら、
少しホッとして涙がいっぱい出てくる。

小島「何怒らしたん」

『…うそっ…っついたぁっ…あたま痛っ…って…っ…おくれたっ…って…っ』

小島「え？嘘やったん？」

『ごめんなさいぃ…っっ…っほんまはっ…YouTube見てたぁ…っっ』

小島「泣くなや」
苦笑いで、大きな手で頭をぽんぽん、とされた。

『やって…っふぇぇぇぇんっ…っ…』

小島「それは、ちゃんと「ごめんなさい」して許してもらうしかないやろ」

『でもっ…っせーやくんきいてくれへん〜っ……けんちゃぁん…っっうわぁぁぁぁんっっ』
言いながら悲しくなって涙がどんどん出てきて、
手の甲で涙を拭いたらすぐびしょびしょになる。

小島「泣くなて。聞いてくれるまで謝り？大丈夫やから。ずっとシカトされへんから。」

『おんっ…わかったぁぁ…っ…』

小島「頑張り」
背中を、ぽん、と優しくたたかれて送り出された。

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