A! と驚く僕の夢14 (ページ42)

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もう少し頑張るとき（誠也/空野、桐山/空野）3 ページ42

(Aside)

那波「Aっ、Aっ！」

『う〜ん……』

那波「Aっ！アラームずっと鳴ってたみたいやけど、大丈夫なんっ？」

『んー…』

掛ふとんも掛けんと布団の上に気づいたら転がってて、
那波くんの焦った声だけがぼんやりした頭に響く。

那波「A、入り、何時？」

『7じ……』

那波「もう6時半やけど。」

『うそ…』
寝ぼけた頭が急にクリアになって飛び起きる。
『…うそっ！？6じはん！？』

本当やったら今ごろもう現場に着いてる予定やった。

那波「やばいんちゃう？遅刻やろ」

『…っアカンアカンアカンっ！』
慌てて顔洗って、
着替えを、ぐっちゃぐちゃの中から
ぽいぽい投げながら超速で探す。
『那波くんっ、なんで起こしてくれへんかってん！』

那波「え？あぁ、ごめん」

『……ごめん、那波くんのせいちゃう。』
那波くんに謝られて急に冷静になる。
そうや、那波くんはそういう優しい人やった。

那波「ええから、早よ準備せなっ」

『そうやなっ、行ってきますっ！』

那波「台本っ、台本忘れてるっ」

『うわーっっ』

那波くんが慌てて渡してくるんを
リュックにぶち込んで、

『行ってきますー！』

と慌てて出ようとする。

那波「Aっ」

『んっ？』

那波くんに腕を掴まれて、
靴を履き終えたところで止まった。

那波「ちゃんと気ぃつけて行ってや、急がなアカンけど。
信号とかちゃんと見てや」

真剣に落ち着いて言われて、
おれは笑ってしまう。
『大丈夫、もう1ねんせいやないで』

那波「わかってるけど、慌てんと気ぃつけてや」

『おんっ、行ってきますー！』

今度は少し気持ち落ち着いて、
走って出てった。

案の定、おれは20分遅刻。

スタッフさんたちに必死に謝る。
『ごめんなさいっ』『遅れてごめんなさいっ』
『ほんまにごめんなさいっ』

監督さんからは「まあ、20分ぐらいなら許すよ」
なんて言われて、ホッと胸を撫でおろす。

衣装に着替えて髪をセットしてもらったところで、
呼び止められた。

照史「A。」

『はいっっ』

振り返ったら、怖い顔した照史くんが
すぐ後ろに立ってた。

照史「遅刻か。アカンで。」

低い声で言われて、
おれの声が小さなる。
『ご…ごめんなさい…！』
少し長く頭を下げて、
顔を上げたら、

照史「いつもは遅刻しても許されてるんか？」

て言われた。