少し落ち着く居場所（桐山/空野）5 ページ15
(sideなし)
照史「痛かったやんな」
Aの小さい右足に、
左手で氷嚢を持ってあてて、
背中を右手で支えた。
『…痛かったです…っ…』
まだうるうるしているAの目。
照史「怪我した踊られへんやんな」
『…っおどれます…っ！』
照史「でも痛いんやろ？」
『でもできる…！』
照史「できるんやったええけど」
ムキになるAに苦笑する。
『だいじょーぶです…！もうジャンプもできます…！』
するりと膝の上からおりて、
ピョンピョン跳んで見せるA。
照史「わかったわ」
笑って言って、
両手で捕まえるようにAを持ち上げて、
もう一度、膝の上に向かい合わせに乗せた。
照史「でも、痛かったら踊ってるときも気になるやろ？」
『……はい…』
シュン、として下を向くA。
照史「今、どんな気持ち？」
『……ケガしたんイヤです…っケガせえへんかったよかった…っ…』
照史「そうやんな。どうしたら怪我せんかった？」
『…かいだんで…っ…ジャンプせんかった…っよかった…っかいだんであそんだアカンかった…っ…』
照史「わかってるやん」
唇を尖らして
また泣き出しそうな顔で見上げるA。
照史「さっきも正門に叱られとったやんな。
階段で遊んだアカンって」
『…はい…っ…』
照史「それやのにまた遊んどったんはなんで？」
真面目に問いかけられて、下を向いて
小さい声で
『…まさかどくんが見てへんかっただいじょーぶとおもった…』と呟く。
照史「見られてへんかった怒られへん思ったんやな」
『…そうです…』
照史「怒られへんかったやってええ思うん？」
『アカン…っ…』
照史「アカンかったやんな」
『…あぶないからやったアカンて…っ…言われてました…』
心底後悔している顔で
今にも泣き出しそうに下を向く。
『やらんかったよかったぁ…っ…ぅっ…』
照史「また泣いとる」
呆れたように優しく笑って、
小さな背中をぽんぽん、とたたいた。
『…ぅっ……っひぅ…っ』
照史「誰にも見られてへん思ってやったんやんな？」
『はい…っ…見られてへんくても…っやったダメでした…っっ…っ』
照史「俺らは見てたで。」
『…え…っ…』
泣き顔を上げて目が合った。
照史「俺らは見てた。「次やったホンマにお尻ペンペンやで」言われとったんにAがまたやったん、見てたで。」
『う…っ…え…っ？』
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作者名：めぐみ | 作成日時：2023年6月23日 10時
