普段とちがう人から 那波スピンオフ（大吾/） ページ12
(sideなし)
今日は歌収録。
さっきリハを終えた那波は、
少しだけ緊張しながらも、
ステージ近くを落ち着きなくうろちょろ。
本当は、他の人たちのリハもあるから、
大人しく楽屋で待っとき、
と、お兄ちゃんたちから言われているところ、
今日はAもいないし、
退屈してしまって、
たまたま大人が周りに誰もいなかったそこに立つと、
赤や黄色のいろいろなスイッチが光っていて、
黒いレバーも2〜3個見える。
一番右のレバーを
引っ張ってみた。
これ、引っ張ったらどうなるんやろ。
結構重くて、
ガチャ、と体重をかけて下におろしたら、
ステージのほうで何かが動く音がした。
よく見たら、
他の出演者が使うセリの部分がステージの上で
凹んでいたところが、
レバーを引っ張ったらのぼってきて動き始めた。
でも、たまたま、
その四角いセリの端っこに何かの荷物が乗っていて、
このままセリが上がったら、
荷物が潰れてしまう。
那波「うわっっ！アカンっっ」
焦った那波は、
ステージのセリに走っていった。
「危ない！！」
誰かスタッフの声で制止されるのも聞かず、
那波は必死に、上がりかけている四角いセリに
ジャンプして下りて、
間一髪、挟まりそうだった小道具が入ったカゴを両手で持って、
ステージの上に乗せた。
那波「あぁ…危なかったぁ……」
幼い声で呟いてひとりホッとしていると、
大吾「那波！！」
と焦った声が聞こえて、
振り返ったら、
大吾が袖からこちらに走ってくるところが見えた。
大吾「危ないやろ！何してるん？怪我してへん？」
焦った様子で、
大吾は、小さい那波の左肩に手を乗せて、
顔を覗き込む。
きょとん、とした那波は、
「…けがしてないです」
と、大吾の勢いに圧倒されながらも答えた。
大吾「それやったらよかった…」
やっと、息をついた大吾が言った。
那波「これもつぶれなくてよかったです」
かごを床に置いた。
大吾「それが潰れるってことは、
那波も挟まれるかもしれへんいうことやで。わかってる？」
那波「えと…でも…」
そこまで話したところで、
スタッフさんに大丈夫か確認されて、
とりあえず大丈夫だと話して、
ステージや袖から捌けて
楽屋に続く廊下に出た。
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作者名：めぐみ | 作成日時：2023年2月28日 22時
