# 14 ページ15
・
少年と別れてしばらく経った頃。
「え！？雨？」
さっきまで晴れていた空からがらりと変わって、突然ぽつぽつと雨が降り出した。
初めは少し雨宿りしようと木陰に身を潜めていたが、雨は止むどころか勢いが増し、ついに土砂降りになってしまった。
幸い雷は鳴っていなかったものの、このまま木陰に居続けるのも無理がある。
仕方ない。今日は宿でも借りて乗り切るしかない。
こういう時に限って「なんで傘を持ち歩いてないんだ」と自分に疑問を持つが、晴れてしまったら傘を買うことなんてどうでも良くなって結局いつも買ってない。
とりあえず鞄が濡れないように体で覆いながら、宿を探し、見つけることが出来た。
鞄には濡れちゃいけないものもあるけど、身を挺して守ったおかげで"鞄は"あまり濡れていない。
……自分自身はまるでシャワーを浴びたかのようにびしょ濡れなんだけど…。
びしょ濡れなままは気持ち悪いので、急いで部屋を借りる。
「お一人様ですね。でしたら丁度残り一部屋部屋空いてますよ」
「良かった…。また宿探す羽目になったらどうしようかと…」
「今日はあなたで最後の一部屋です。あ、それから…一度入口のところで上着の水落としてきてもらっても良いですか？」
「はい！すみません！」
私から滴り落ちる雫を見ながら、受付のお姉さんにそう言われた。まあこのまま行ったら廊下とか汚しちゃうもんな…。
最後の一部屋なんてここ最近の運使い果たしてしまったのかと思うほど運良いな。ここで部屋の空きが無いとか言われたら膝から崩れ落ちるとからだったぞ。
まずは上着を脱いで水を払って、びしょ濡れになって水がぽたぽたと垂れ落ちる髪をぎゅっと絞った。
「このままじゃ風邪引いちゃうな…」
「…そうだね。この濡れた状態じゃ風邪も引くかもなぁ」
ぽつりと溢した独り言に返事が返ってくる。
声のする方向を見ると、びしょ濡れになったタルタリヤが立っていた。
「げっ。なんでこんなところにいるんですか」
「げっ、って酷いなぁ。雨が降ってきたから雨宿りしようと思っただけだよ」
「結構降られちゃったな」なんて言いながら雨に降られてびしょ濡れになった髪を少しかき上げる。
水も滴る何とやら。少し色気があるなんて思ってしまった自分を殴りたい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 646人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原神」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼(プロフ) - やっぱりタリヤちゃんのベルトはｴｯｯｯｯｯﾁベルトですよね〜！！表現が分かりやすかったので凄くドキドキしながら見させていただきました〜！！好きです🥹🫶 (10月5日 15時) (
レス) @page40 id: 2e07dff5be (このIDを非表示/違反報告)
ららな(プロフ) - 初コメ失礼します🙇♀️とても面白くドキドキしながら拝見させてもらっています笑無理しない程度で頑張ってください！応援してます🔥 (2023年2月25日 15時) (レス) @page40 id: 58171cba1a (このIDを非表示/違反報告)
音羽すず(プロフ) - ゆっきーぷさん» いえいえ！長らくこの作品を読んでくださってありがたい限りです！ (2022年12月27日 15時) (レス) id: 07f0f0245e (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきーぷ - 何度もすみません… (2022年12月27日 12時) (レス) @page37 id: 01a1df8e04 (このIDを非表示/違反報告)
音羽すず(プロフ) - ゆっきーぷさん» なるほど…思いついたら書きますが、申し訳ないですがもしかしたら書かずに完結してしまう可能性もあります…。 (2022年12月27日 0時) (レス) @page36 id: 07f0f0245e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：音羽すず | 作成日時：2022年7月21日 21時
