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不協和音 ページ29

Linto side

飛鳥と別れてから、メイク直しやら水分補給しなさい!とお姉さんメンバーからお節介を焼かれたのは覚えていたが、ボーッとしていたのできづいたら舞台袖も越えて、曲中のみんなが次々と倒れていくフリのところだった。1回目の「僕は嫌だ」は私がいうはずだったのだが、ちゃんと言えていただろうか。
由依が倒れた後に私が倒れて、その次に平手が倒れる順番になっている。由依が倒れたのを確認して、安全に倒れた。





はずだった。


いつもは、両膝で振動を抑えてから右側に倒れているのに、何を思ったのか、全体重を右膝にかけて倒れてしまった。その瞬間、バンッという音がして、一瞬にして右膝に痛みが走った。しまった、と思った。

私は曲中、『僕』に入りきっているので『楠木燐翔』に戻ることはまず無いのだが、この時ばかりは私本人に戻っていた。

次のフリは左右から平手に向かって思い切り踏み込んで平手の『僕は嫌だ』に持っていく力強いシーンだ。
痛くてとても力を入れられる状態じゃないけどだからといって力を抜いてやるわけにはいかない。生放送でましてやあの国民的な年末の番組の『紅白歌合戦』で醜態を晒すわけにはいかない。私個人の失態がグループの失態になる。そう思い、ひたすら我慢して踊った。

次、気が着いた瞬間にはもう最後の逆三角形のフォーメーションの所だった。私は、平手を入れて前から三人目。ゆっかーの後ろでりさの前のポジションだ。

膝はアドレナリンが出ているおかげで何とか曲げられている状態だった。

私たちの出番が終わった合図「欅坂46のみなさん、ありがとうございました」が聞こえた時、緊張の糸が切れたのかそのまま左側に倒れそうになったところをりさに支えられた。

『ありがと…』

理「大丈夫、次のアーティストさんの番だからとりあえず袖行こう。」

『うん。』

「はい、乗って。」

そう言って、理佐は私の前に屈んだ。

『え、でも…』

理「時間ないから、はやく」

『わかった。ありがと…』

最後の力を振り絞ってとりあえずお礼だけ言った。

理佐は自分の身長とさほど変わらない私をおぶって楽屋まで連れて行ってくれた。


次は内村さんとのコラボ。



やれるかな…





やれるかなじゃないよ。





やるかやらないかじゃなくて、やるんだよ。



_______行くぞ、僕。

胸騒ぎ→←作者です



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水梨湊海(プロフ) - 河瀬さん» ありがとうございます!訂正しました! (2019年2月12日 14時) (レス) id: 8ecc60a034 (このIDを非表示/違反報告)
河瀬(プロフ) - けやかけ、が、毛やかけになってます!(1話) (2019年1月28日 3時) (レス) id: 4d532e1b9e (このIDを非表示/違反報告)
水梨湊海(プロフ) - まるさん» ご指摘ありがとうございます。以後気をつけます。 (2018年12月25日 21時) (レス) id: 8ecc60a034 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水梨湊海 | 作成日時:2018年12月25日 21時

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