オトギリソウ STORY3 (ページ23)

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Linto Side

気づけば、風ふかのスーツを着てオープニングの位置に整列していた。

そういえば、秋元先生に紅白が最後って言ってたような。やだな、やっぱりみんなと離れたくない。

でも分かってる。不協和音を披露する前の自分は完全に曲に入り込んでいるということが。曲の〝僕″と同じようにみんなが〝敵″に見えてしまう。

一番前に整列するのは各々のグループの今回披露する曲のセンターだ。
乃木坂さんはインフルエンサーのはずなのに、麻衣ちゃんの横にはなぜか飛鳥がいて、Wセンターのはずのなぁちゃんは後ろにいる。
飛鳥の左手は、私の右手を。友梨奈の右手は私の左手をつないでくれていた。

少しでも、家族、メンバーの存在を感じられて嬉しかった。

そんなことを思っていると、友梨奈に話しかけられていることに気付いた。

『なに？』

やっぱり、すこし言い方がきつくなってしまった。私は、そんな自分が酷くみじめに思えて悲しくなった。

Hirate Side

『なに？』

今日、久しぶりに聞いた燐の声はひどく冷たく刺さるような声だった。

でもその後、悲しい顔をして謝ってきた。

『友梨奈、ごめん』

「大丈夫だよ？燐、指原さんが、燐とおはなししてみたいって言ってらっしゃるよ？」

私がそう微笑みながら言うと燐もうれしそうに言った。

『ほんと？』

指「今日はよろしくね？燐ちゃん…って呼んでもいい？」

『ぜひぜひ！これからよろしくお願いいたします！』

燐が深々とお辞儀したので、私も一緒にお辞儀をした。

そしてしばらくするとリハが終わった。

指「じゃあ、またね！楽しみにしてる！」

『「ありがとうございました！」』

指原さんと別れると燐はさっきの笑顔が嘘のように冷たい表情に戻ってしまった。

楽屋に戻ろうとしたとき、飛鳥さんがあとで燐を送ってくと言って下さったので、こばと鈴本と話しながら楽屋に戻った。