Once upon a time (ページ7)

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その後、俺は妹を犬小屋から連れ出した。こんなところいち早く出たかったが、妹がどうしてもと言うので魔女の宝を漁って盗んだ。そんなに宝が大事か、と問うときょとん、とした表情でお父さんにあげるのに必要だ、と当たり前かのように答えた。妹はその後もポケットに入らない分も持っていこうとしていた。こんなもの、光っているだけで何の役にも立たないのに。
日が明けると共に自分たちの小屋が見えた。帰ってきて扉を開けたら、お父さんはとても喜んでいるのか俺たちを抱きしめた。妹はそのまま、お父さんの腕の中で眠ってしまった。このままだったら、十分に寝るまで起きないだろう。都合がいい。お父さんが寝静まったのを確認して、妹を急いで抱えて家を出た。守らなきゃならない。こいつは俺よりも純粋で単純でバカでなくちゃいけない。
マッチ棒をやすりに擦り合わせると、簡単に火がついた。揺らめく火の背景に、貧相な小屋が覗き込むように映る。森の深い、産まれて初めて見る景色と共に、お父さんのいつも通り優しそうだった笑顔が、フラッシュバックする。

信じられなかった。

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「ヘンゼルとグレーテル」 / さんぷる
参加させていただきました、お誘い頂きありがとうございます