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「Aはなんでこんやつに気をかけるの?それより僕と会えたことの方が大事だよね!」
ぐり、ぐり
「帰ったら何する?何食べたい?僕Aのハンバーグ食べたかったんだ!あっそれよりお風呂か!」
ぐりぐり
「僕ね、Aのために色んな人を踏みにじってきたんだよ。ほら、こんな風に。」
ぐりぐり、ぐしゃり。
彼が足を退けると、そこには完全に潰れた蛙がいた。
私のために潰した?私のせいで?この蛙は死んだの?
なんだか疲れてきてしまった。おとぎ話の世界ってこんなにも疲れることがあるんだ。もしかしたら全部夢かもしれない。もう1回寝よう。うん、そうしよう。
そうして彼の手のひらで眠りに落ちた。
「うん、寝たね。」
ああ、可哀想なA｡こんな小汚い所に連れてこられて2人きりだなんて。僕だったら怖くて死んじゃうかも。まあ死なないけど。
「ねえ、見てるんでしょ。そこにいる誰かさん。」
しっぽが見えてるよ、なぁんて。
そういうとすぐにバサバサと飛び立っていく音が聞こえる。こんな脅しで飛んでっちゃくらいの気持ちでお姫様をさらおうなんて、生温いんじゃない?
ここには誰もいなくなった。蜂も蛙も燕もその他大勢のお姫様を狙うやつも。みんな踏みつけて消してしまった。
こうして王子様とお姫様は幸せになりましたなんて、素敵な終わり方じゃない?せっかく頑張ってこっちの世界に連れてきたんだから、これくらいはね。悪友達にこんな所を見られたらドン引きされるかもしれない。まあどうってことないけど。
彼女に迎えは来ない。そうして、全てを忘れて幸せになろう？
＿
親指姫/じばくとっこうたい
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作者ホームページ：なし 作成日時：2023年1月14日 18時
