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逃げるも、矢張り1少女とネバーランドの管理者。何方が強いかというのは直ぐに分かるだろう。結局レウさんや海賊であるきょーさん、鰐であるみどりくんさん、海の王であるコンちゃんさんが私の事を助けてくれたお陰で、何とか抜け出せたのだ。
海賊は怖いものだとらっだぁに教えられていたが、実は優しいという事が分かった。本物のピーターパンであれば鰐が船長の腕を食い尽くすみたいな事があって少し震えていたが、「ｿﾝﾅ事ｽﾙ訳無ｲﾃﾞｼｮ」とみどりくんさんは冷たい目で私を見て来た。
そんな優しい人達に見送られ、レウさんに妖精の粉を貰って急いで空へと飛び立つ。ネバーランドから私の現実世界へ戻れた。と思ったのに。
「なぁに逃げようとしてんの？」
「……らっだぁ？」
震えた声でらっだぁの事を呼ぶ。そうすると笑顔で、「どうしたの、A」と抱き締めて来た。どうして、此処はもう既に現実世界なのに。レウさんが言っていたらっだぁはネバーランドでしか力を発揮出来ないというのは嘘だったのか。
「大丈夫だよ。俺はAさえ居てくれたらどうでも良いし。他の子だって帰すから、だからさ、帰って来てよ。俺、Aが居ないと生きていけない。Aが俺の話を聞く姿、楽しそうにネバーランドに行く姿、そして俺の事を慈しむその姿に惚れたの。ねぇ、お願い。Aが帰ってきたら、ばどだって、みどりくんだって、レウさんだって、コンちゃんだって助けるから」
「……本当に？」
「勿論だよ。俺も彼奴等嫌いじゃないし、まだまだバカやりたいし。でもその中には俺はAが必要なんだ。だから、俺の手を掴んで」
私はらっだぁのその縋る声に対して、手を取らざるを得なかった。本当は帰りたい。だけれども私を助けてくれようとした人が居なくなってしまうだなんて耐えられない。
ネバーランドに連れられて行ったウェンディは一体どうやって家へと帰ったのか記憶が朧気だ。もし私がその役目だったらきっともう既に家へと帰る事が出来ているだろう。
「良かった、もし俺を拒んでいたらきっと俺はAを殺してた。残る事を選んでくれてありがとう、俺を選んでくれてありがとう。A」
そう言って綺麗な笑顔を浮かべてネバーランドへと逆戻りするらっだぁ。私はその手を振り払う選択肢は既に無い事を悟った。
ーー
ピーターパン / かな
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作者ホームページ：なし 作成日時：2023年1月14日 18時
