拝啓。私に生を強要した神に告ぐ.mfmf (ページ3)

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がんばりすぎたページ3

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昔からそうだった。父親はタバコを辞めてくれず、でも、優しい人だった。

怒らなければ

父は私が悪いことをしたら必ずと言っていいほど、暴力をふるう。

1度は寒空の下外に放り出されたこともあった。

だが、許してもらうと人格が変わったように、怖かったね。ごめんね。となぐさめてくれる。

そんな父が怖くて私は高校卒業と同時に家を出た。

だが、社会はそんなに甘くはなくて、23歳になる今まで、面接に、何度も落ちてきた。そんな私は今でもアルバイトで食い扶持を繋いでいる。

ピアノを弾く手は止まらず、お兄さんの歌声と、ピアノの音だけが店内に響いた。

気付かぬうちに忘れていたはずのあの歌詞も出てきて、社会の雑音なんてない、音楽だけが私の頭に響いた。

花びらが舞う、踊る、君を囲いながら
美しく可憐に儚げに
君とこの景色を見たいんだよ
けれど君は幽世(あの世)へ僕を置いて行ってしまうんだろう？
それなら僕はずっと待っているよ
君と過ごしたあの日で
さようなら。またいつか会えたらね

弾き終えたところで周りを見てみると、たくさんの人がピアノの周りに集まっていた。

ぱちぱちとまばらに聞こえる拍手にお辞儀をして、自分の席に戻るとお兄さんが笑いかけてくれた。

「とっても素敵でした」

窓から入ってきた光で輝くお兄さんの髪がとても綺麗で思わず手を伸ばす。

その瞬間、ｶｼｬｯと小さな音がどこかから響いた気がした。

ふっと振り向いても誰もいなくて、気のせいかと無視して、その日はお兄さんと別れた。

今日何をしようとしていたかなんて覚えてなくて、気分はすっかり晴れていた。もう一度頑張ろう。そんな気すら起きていた。

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