鏡に映る貴方はだあれ？ ページ3
*
ぼーっとこのキラキラした部屋を眺めている
ドアや窓は鍵がかかっているわけではないが、足に枷がついていて外には出れない。
ベッドには天蓋がついており、サイズはクイーン。部屋はとても広く、私だけでは余すほどだった。
窓の装飾なども凝っており、この部屋を作るのに一体どれほどのお金がかかるのか、考えるだけで頭が痛くなる。
ふと、鏡に映った自分を見るとまるで今までとは別人のようだった。
これは本当に自分なのか疑うほどだ。
着ている服はキラキラしたドールのようで部屋にとても合っている。
しばらく外に出てないからか焼けてない肌は真っ白で、
雪のようだった。
髪の毛は長く膝の辺りまで伸びていて、
綺麗に結われている。
動くとジャラ…と音を立てる鎖を気にせず鏡に近づくとより鮮明に自分の顔が見えた。
元々母親がイギリス人でハーフの私は目が青く肌は白い。
そんな私は子供の頃からやんちゃで動き回って真っ黒になっていたけど
今となってはそんな面影はどこにも無い。
大切に育てられた箱入り娘のようだ。
この部屋から出なくなって何日かなんてもう覚えていない。
最初の数ヶ月で数えるのをやめた。
ふと時計を見ると夜の7時を指しており、
もうすぐあの人が帰ってくるとなると
恐怖で足が動かない。
ガチャガチャと鍵を開ける音がする。
ああ、帰ってきてしまった
全身がブルブルと震える。
ぎぃ…とドアが開くと満面の笑みを浮かべた長身の男がいる。
「ただいま。」
「あっ…お……か、えり…なさ」
震えて上手く声が出ない。
「僕にしっかり挨拶は？」
この狂気じみた笑みを浮かべる人から、
今日も私は逃げられない
*
1.おとぎの一言→←君の声が聞こえなくなる程夢中で空を泳いでいた
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作者名：小路 すみれ | 作成日時：2021年5月2日 13時
