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雨音が響く中少女は1人孤独の海に溺れる ページ1

*

ざあざあと雨が降っている。

そんな中私は走ってどこかに向かっていた。

どこに行こうとしてるかなんて分からない。

彼の好みに合わせて着た服も、メイクも雨に濡れてグシャグシャになっていた。

しっかりセットされていたはずの髪の毛は走ったせいでボサボサになって、

立ち止まりはぁはぁと肩で息をした建物のガラスに映る私はとても醜く、
少し前までの輝いていた時とかけ離れていた。

そんな自分を見ていると笑えてきてしまってあははっと声を上げて笑ってしまう。

聞こえてきた笑い声はいつもとは違い、切なそうに無理に笑っているようだ。

笑い疲れた頃目から涙が溢れてきた。

泣く必要なんてないのに、別れられて清々したはずなのに、ひとりがすごく辛い。

友達に連絡しようとしてもそんな友達はいない。彼と付き合う時、女友達の連絡先も消されたからだ。その時はなんとも思わなかった。

彼を安心させられるなら、彼がいるから、と心の底から思っていた。

今思い出したら反吐が出る。
早く帰ろう。
家に帰れば私だけの空間だ。
誰も邪魔しない、邪魔させない。

走りにくい厚底の靴を脱ぎ捨てて、ストッキングに穴が開くことなんて気にせず走った。

ガチャ…と家のドアを開けると鏡に自分が映る先程どこかのガラスで見た自分よりグシャグシャになっているが、
今の自分は嫌いではなかった。

家の鍵を見ると彼が買ってくれたストラップが見える。

何故かそれすら気持ち悪く思えてしまって引きちぎった。

彼のものや好みで染められた部屋を見て吐き気がする。狂ったように笑いながら部屋のものを破く、落とす、壊す。

濡れた服を脱ぎもせずにベットに倒れ込むとシーツが沈み、体を包む。

まるで孤独に溺れているようだった。

大量の睡眠薬を飲み、もう一度寝転がる。

ドンドンドンとドアを叩かれ怒鳴られているが聞こえないふりをし眠りにつく。

次起きた時にはきっと、私の理想の世界になっているから。

*

君の声が聞こえなくなる程夢中で空を泳いでいた→



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作者名:小路 すみれ | 作成日時:2021年5月2日 13時

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