ひと握りの夢（D.Sakuma） (ページ5)

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『出来たので送ります。確認お願いします。』

社内用のメッセージツールで部長にそう送り、その後に音楽ファイルをつける。
そう待たないうちに『早すぎんか！？』と『確認する』と返信が来た。
そのメッセージを見て、ふぅ、と一息。
ゆっくりと目を閉じて、思考の中へ。

正直、自分でもびっくりしている。
自分の中でもこんな短時間で曲作りができたことはなかった。
でも、作業する手が止まらなかった
。
アイドルとしての彼らを見て、みんなとそれぞれ挨拶をしたあの日。
ずっと胸が高鳴って、わくわくして。
戻ってからすぐに曲作りに取り組んだ。

少しすると部長から『OK。これでいこう』と返信がきた。
曲が認められたというほっとした気持ちと、まだドキドキしている気持ち。

作業用の机に置いてある写真立てに目を移す。
明るく眩しいステージの上で、笑顔で写っている人。

どうか、どうか。
この曲が少しでも多くの人に届きますように。