ひと握りの夢（D.Sakuma） (ページ2)

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「緊張してるなぁ」
「ま、まぁ…。そりゃしますよ」

私の隣を歩く上司にそう返すと、そうだよなぁ、と笑われた。

「まだ本格的に担当になるわけではないからな。引き受けるつもりではいるが、打ち合わせをして、良ければと思っている」
「…分かっています。ご期待に添えるように頑張ります」

きゅ、と鞄を持つ手に力が入る。

私の仕事は作曲家で、所属している会社を通していろんなアーティストや企業への音楽提供をしている。
まだまだ新人の私も、少しずつオファーをもらえるようになってきた。
憧れの人にはまだ全然届いてはいないのがげんぃつだけど、私の音楽を必要としてくれることが嬉しくて。
そんな私に来たのが、今日の打ち合わせの話だった。
かなり大手の事務所からの依頼、ということだけ部長に言われ、今日こうして打ち合わせに連れてきてもらえた訳だ。

「さ、着いたぞ。入ろうか」
「はい。お願いします」

会議室の中へ入っていく部長の見て、意を決して私も後に続いた。