千年姫と誠の心

３６・仲間の幸せを願うお姫様 ページ39

薫にも手紙を置いてきて、屯所の荷物をすべて片付けた
後は、城に帰るだけ・・・


　『はぁ・・・・』


本当は千年姫の力で、江戸まで飛ぶことができるんだけど
今は少しだけ思い出に浸っていたかった

新選組とともに育った町、たくさんの思い出がよみがえる

一歩、一歩、足を進めるたびに目に涙が浮かんでくる


　『本当は・・・・もっと、みんなといたかった・・・』


そんなことをポツリと口に出すと、あの光景が浮かんだ



___________千鶴の手があったかくて、死んでたまるかって思った


見たこともないほど、優しく、綺麗に微笑んだ平助
それにこたえるかのように、ふわりと微笑む千鶴ちゃん


　『私は・・・・これでよかったんだよ・・・二人が優しいから、嬉しいんだよね。本当は』


なんて言い訳じみたことを呟く
それともう二つ浮かぶ



＿＿＿＿＿＿好きだよ


愛おしそうに見つめてくる総司
瞳には決意の色が現れていたのを覚えている



＿＿＿＿＿＿俺はいつでも、Aの味方だよ・・・


初恋の君、ずっと私を探してくれて
再開したとき、すごく嬉しそうに笑ってくれた



こんなにも幸せなのに、これ以上幸せを望むのはいけない気がして
決意を固め、千年姫の力で江戸まで飛んだ





　

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