何処だろうと必ずキミを見つけ出す ページ39
・
｢は…………、え？嘘っ、なななんで？！｣
ただでさえ大きな目をさらに見開いて俺の事を凝視しながら、見て取れるくらいアタフタとしだしたAに思わず笑いが零れる。
｢やばい、夢だ。それか幻覚だ。ついにこの域まで行くようになったか、さすが私｣
｢大丈夫。本物だから｣
どう頑張ってもこの状況が理解出来ないようで。俺の事を自らが生み出した幻だと思う事にしたらしい。
驚くのは分かるけど、そこまで？
相変わらず｢なんで？｣｢どうやってここに？｣と質問攻めしてくるAに呆れながら、ここの住所が分かった経緯を話す。
ふと彼女から視線を外したら、部屋の壁を覆い尽くすそれが目に入った。
｢てゆうか、凄いなコレ｣
彼女の部屋の中を見渡す。
壁の至る所に俺のポスターが貼ってあった。見覚えがあるそれらは、球団で公式に撮ったやつだ。
入団したてで少し表情が堅いものや、試合中のワンショットを引き伸ばしたもの、チームメイトと一緒に写っているものや、雑誌の取材を受けた時に恥ずかしいと思いながら撮ったものなど、様々。
懐かしな、と1枚1枚見て回ると、後ろから｢……引かないんですか？｣と恐る恐る聞かれた。
一応ポスターとして売り出されたものだし、俺の部屋にも好きな選手(男だけど)のポスターはいくつか貼ってたし……
Aもこれはきっと1ファンとして買ってくれたのだろうから、別に引いたりは……
｢……ってなんだコレ｣
タンスの上に所狭しと置かれた大量の写真立て。
よく見れば、高校時代の野球をしている俺、同級生と話している俺、教室で机に伏せて寝ている俺、寮の敷地内で素振りをしている俺……
全部俺じゃないか。しかも9割方目線がこちらを向いていない。
｢公式では手に入らない私のコレクションたちです｣
｢………どう見たって盗撮なんだけど｣
｢はい、盗撮です｣
｢当たり前のように言うな｣
これにはさすがに引いた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 304人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「大谷翔平」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：肴 | 作成日時：2019年4月9日 21時
