魔法の言葉をキミに教えよう ページ2
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初めて会った時は、正直こんな俺の何処がいいのかと思った。
盲目的過ぎるし。
何度断っても諦めないし。
でも、そんな彼女を見るたびに。
いつしか特別な感情を抱くようになってた。
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｢大谷先輩っ｣
新千歳空港の到着ロビーの壁に寄りかかってスマホを弄っていると、聞き慣れた声が耳に入って顔を上げる。
スーツケースと両手に荷物を抱えたAが、華が咲いたような笑顔で駆け寄ってきた。
｢……おう｣
｢お久しぶりです！また身長大きくなりました？｣
｢久しぶりって、先週にもあったばかりだし。てゆーか人多いから引っ付くなって｣
｢あはは、そうですねっ｣
たった1週間にも会ったのに。数年ぶりの再会かのように喜んではしゃぐ彼女に溜息をついた。
そして会う度にいつも思う。変わらないな、と。
Aと初めて会ったのは4年前。高校二年生の春。
一年の秋からエースを任されていた俺は、春の甲子園に向けて奮起していた時だった。
｢大谷先輩に憧れて花巻東に入りました！好きです！｣
新一年生の入学式を終えた翌日。
グラウンドに向かっている途中に、初めて会ったAに呼び止められて、大勢のチームメイトがいる前で告白された。
その行動に度肝を抜かれて固まってしまったけど、一緒にいた同級生に肘で小突かれて我に返る。
｢あー………えっと、ごめん。今は野球に集中したいから｣
返事はもちろん断った。
なんて言ったって俺の第1は野球。ついでに言えば第2も第3にも野球だ。それくらい、人生を野球に注いでいたから。恋愛をしてる暇なんてないし、恋愛に興味すらなかった。
俺を追いかけて花巻東高校に来たみたいだけど、俺は誰とも付き合うつもりはない。少しだけ申し訳なく思ったが、こればかりは変えないし。
泣かないでよ、なんて心配したけど。
告白してきた一年生は、泣くどころか満面の笑みで。
｢いいんです！野球をしている先輩がカッコ良くて好きなんで！これからも応援させてくださいっ｣
そんな事を言うもんだから、俺も周りの同級生たちも呆気に取られてしまった。
この子、メンタル凄いな。その場にいた誰もが関心したと思う。
話した事もないのに。俺からしたら初めて会う相手なのに。
そこまで好きでいてくれるのか、と思ったら小っ恥ずかしくなって、聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声で｢ありがとう｣と言っておいた。
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作者名：肴 | 作成日時：2019年4月9日 21時
