アナタ以外は欲しくない ページ11
・
｢まさか………“逆に”俺が貰うとは｣
リストバンドを外して、入っていた袋に丁寧に入れ直しながら先輩は苦笑いを浮かべた。
“逆に”、とは一体どういう事だろう。
私は頭の上にはてなマークを乗せながら、再び先輩の隣に腰を降ろした。
｢今日、誕生日でしょ｣
｢！……な、なんで知ってるんですか？！｣
｢この間実家に行った時。部屋に友達に祝ってもらった時の写真が飾ってあるだろ。それ見て知った｣
コルクボードいっぱいに貼ってある写真の事かな。
先輩、あれ見て………
って、ちょっと待って！
あのコルクボードの写真、変顔ばっかだったよね？！あれ見られたの？？恥っず！死ねる！
尋常ではない手汗と顔に熱が上がってきた。
｢なんか買ってやろうと思ったんだけどさ。家族以外の女の人にプレゼントした事ないから、何買えばいいかさっぱり分からなくて。結局買うタイミング逃した……ごめん｣
｢えっ、いえ、全然！私も言わなかったし｣
｢でも知ったからには何かあげたくて。とりあえずこっちに呼んでみたんだけど｣
｢あ……だから誘ってくれたんですね｣
そっか。私は勝手に今日会える事がプレゼントだーなんて思ってたけど、先輩もそのつもりだったんだ。
それが分かっただけで、凄く嬉しい。
先輩なりに祝おうとしてくれてたんですね。
｢私は今日、先輩に会えた事が一番のプレゼントです｣
｢……｣
｢幸せすぎておかしくなりそうです｣
嬉しさが溢れて、顔が綻ぶ。
幸せすぎて、胸がキュウっと締め付けられる。
それは痛過ぎない、甘くて優しい締め付け。
この緩い痛みが、私の身体は病みつきになってる。
まるで中毒のよう。
暫く私の顔をじっと見つめていた先輩は、｢お前……ヤダ｣と言って大きくため息をついた。
何が？と聞き返そうとしたら、背中に腕を回されて抱きしめられる。
ビックリし過ぎて言葉が出ない。
｢今日くらいは甘やかしてやるから｣
｢先輩……｣
｢なんかしてほしい事あったら言って｣
｢何それ……父の日の肩たたき券思い出した｣
｢……うるさい。いいから言えって｣
してほしい事、か。
そんなの一つしかない。
先輩だって分かってるくせに。
｢先輩｣
｢ん｣
｢キス、して｣
｢…………ん｣
少しカサついた唇から伝わる熱。
甘くて甘くて……ただ、甘かった。
〈 アナタ以外は欲しくない 〉
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 270人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
肴(プロフ) - なべさん» ありがとうございます(＞＜)これからもたくさんの方にカッコイイと思って頂ける大谷さんを書いていきますので、続きもお楽しみくださいませ！ (2019年4月3日 15時) (
レス) id: d1ef2c2a4b (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 大谷選手カッコイイです！！次のも楽しみにしてますね！更新頑張って下さい！！ (2019年4月3日 15時) (レス) id: f19b1505d1 (このIDを非表示/違反報告)
肴(プロフ) - 緑担さん» 前回にもコメント頂きありがとうございます( ´ω` )とてもやる気が出ます！ご本人様には及びませんが……これからもたくさん妄想(笑)していきますのでよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年4月1日 13時) (レス) id: d1ef2c2a4b (このIDを非表示/違反報告)
緑担 - 続編おめでとうございます!!大谷選手がかっこよすぎます!!更新頑張ってください!!応援してます!! (2019年4月1日 11時) (レス) id: 282a695b3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：肴 | 作成日時：2019年3月29日 22時
