椿、深き翠に落つる。【庭球浪漫/立海/男主】 (ページ6)

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憧れた人の、本性ページ6

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本当のことが、知りたかった。

何故、柳さんがいなくなったのか。切原たちは本当に出征しているのか。

俺は、副隊長が隊長の部屋に入るのを見計らって、外で聞き耳を立てた。

やがて聞こえてきた、二人の話し声。なんて言っているかはわからなかったが、俺は必死にそれを聞き取ろうとした。

しばらく経った時。不意に、副隊長の声が途切れた。

思わず、隙間から様子を伺う。……俺は、目を見開いた。

副隊長の体を貫く刃。刺した隊長本人の目は、どこも見ていないように思えた。

「……っ！！」

目を離す。俺の足は、まだがくがくと震えていた。

俺の考えは、事実だった。きっと、あんなふうに、隊長は、切原を、柳さんを……

開いた扉に、身がすくむ。出てきた隊長は、何食わぬ顔で俺を見つけて、話しかけた。

「……やあ、春木。俺に用かい？」

「……ゆ、幸村、隊長……」

「悪いね、今部屋が汚れていてさ。応接室を使おうか、そこで話を……」

「っい、いいですっ……ここで、いいですっ……」

生きろ、と言われた。

でも、こんなことなら、聞かずにはいられない。

俺は、激しく動く心臓を押さえつけながら、口を開いた。