椿、深き翠に落つる。【庭球浪漫/立海/男主】 (ページ35)

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幼馴染の記憶ページ35

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俺の家は、軍人の家系だった。

父も兄も軍人で、俺もまた、軍人として教育を施された。

幼馴染と共に士官学校を卒業し、入隊。程なくして、特別精鋭部隊……椿隊の、隊長と副隊長に任ぜられた。

有り余るほどの光栄であった。我らは国に仕えるためにある存在。襟元に輝くピンズが、なんとも誇らしい。

「真田。」

幼馴染が、言った。

「君は、俺を助けてくれるよね？」

奴が体を壊した時も、何かあった時も、いつでもそばにいた。

「……ああ。」

俺は答えて、帽子を深くかぶった。

何があっても、お前を守る。俺だけは、お前の味方だ。

……今思えば、俺が崇拝していたのは、国でも天皇でもなくて、奴一人だけだったのかもしれない。

それでも、俺は。この部隊を、帝国随一の誇りを守るために。

「いいか。負けてはならぬ！我が大日本帝国の名を、世界に知らしめるのだ！全ては、お国のために！」

静かに笑うあいつの横で、俺は声を張り、叫び続ける。