椿、深き翠に落つる。【庭球浪漫/立海/男主】 (ページ32)

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最後に話したのは、裏の墓を参った時だった。仁王が処分されて以来、俺はよく柳生と一緒に参るようになっていた。

どこで知ったのか、精市は柳生の思惑をわかっていた。だから、俺は、あいつに従って。送らせる車に、細工を施した。

即ち、俺は柳生を殺したのだ。柳生だけじゃない。ジャッカルだって。俺が、見ていながらも、殺した。精市はそんな気など、更々ないようであったが。

このまま、こんなことをしていて許されるのだろうか。

そう思った矢先。春木が、精市に疑いの目を向け始めた。

春木の読みは、当たっている。けれど、ここで聞かれては。

……赤也の代わり、と言えば失礼に値するかもしれない。

それでも、赤也のことをずっと悔やんでいる今は。ただ。

「生きろ。春木。」

俺はそう言って、春木に背を向けた。

死なせない。あいつだけは。赤也と同じ目に、合わせるわけには行かない。

俺が止める。精市を、この手で。

これ以上の犠牲を増やさぬためにも、友として、幹部のひとりとして……

何としても、止めてみせる。