椿、深き翠に落つる。【庭球浪漫/立海/男主】 (ページ27)

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並んだ、粗末な墓に手を合わせた。

処分のことは、前々からしていると幸村くんから聞いていた。……私は言わずとも他人に言いふらしはしませんから。信頼をされていたのでしょう。

「……」

本部の裏。幸村くんに処分された人間の墓が、小さく並んでいた。

柳くんが作ったと、聞いた。彼もまた、幸村くんに隠れて人を思う方なのでしょう。

「柳生。もういいか。」

「ええ。交代しましょうか。」

柳くんに変わり、見張りに立つ。……以前の私なら、ここへ来ることは無かったでしょう。

『やーぎゅ。』

「！」

不意に聞こえた、舌っ足らずな声。悪戯そうに笑う仁王くんが、生意気に塀に座っていた。気がした。

『やーぎゅ。お前さんがやりたいように、やりんしゃい。』

確かに、仁王くんの声。……幻聴か、はたまた忠告か。

なんともあの人らしい。

「……」

空が、揺れる。私は、何を望んでここにいるのか。

改めて考え直すと、何もない。さて、どうしましょうか。

「待たせた、柳生。早く戻ろう。」

「ええ。」

出てきた柳くんと共に、私はまた本部へ向かった。

ひとつの決心を、胸に抱えて。