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それから、赤也が入隊して。Aも入隊してきて……赤也が研修から戻る頃。
俺は、偶然二人が話しているのを聞いた。
赤也は、この隊をやめるつもりらしい。俺はこっそり、幸村のところへ向かった赤也を見送った。
でも、次の日になっても赤也は隊にはいなくて。
……嫌な予感がした。でも、聞かずにはいられなかった。
だってあれから、赤也が幸村のところから出てきた姿なんて……見ていない。
「ブン太。」
「あ？」
「俺、ちょっと幸村のところへ行ってくる。」
「……どうしたんだよいきなり。まーでも気をつけて行けよー。」
俺は軽く返事をして、幸村の部屋を訪ねた。
幸村は、柳と二人で何やら話をしていた。
「……邪魔だったか？」
「ああ、そんなことはないよ。まあ入って。……どうしたんだい、ジャッカルが来るなんて珍しいなあ。」
「ああ。実は……」
言いかけたところで、気がついた。
……床に敷かれた絨毯。何故か、やけに気になるシミがある。
まるで、何かをぶちまけたような。
「ジャッカル？」
幸村の声が、嫌に恐ろしい。俺は、意を決し幸村に向き合い、本題を切り出した。
「……幸村。その、赤也がいないみたいなんだが……」
「ああ、赤也のことかい？赤也なら、今朝方満州へ行ったよ。」
「……本当に？」
「嘘に見えるかい？」
「……」
これ以上、言ってはいけないと思った。でも。
「……ああ、嘘に見える。俺は、ここを訪ねたきり出てきていない赤也を知っているからな。」
真相を確かめずには、いられない。
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2016年3月1日 20時
