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正直言って、俺は彼らに助けられた。
国に忠誠を誓うことを条件に、俺はこの隊へと拾われたのだ。
尤も、こんな国に忠誠を誓う気など更々なかった。でも、あんな所から抜け出せると思えば、そんなことどうでもよかった。
それに、椿隊の名くらい俺でも知っていた。隊へ入れば、誰も何も言えなくなる。
こうして、見せかけの忠誠を誓ったまま、俺は深緑の軍服に腕を通した。
……それから、しばらくして。仏頂面の新隊員が、入隊してきた。
銀髪と赤髪。……こいつらも苦労してきたのだろうと、勝手に同情していた。
ある日。俺は、赤髪が真田の特訓をサボって、隠れているのを見かけた。
話すチャンスが出来たと、俺はそいつを匿いながら、互いに話をした。
「俺、ずっと見せ物にされててさ。」
ブン太、といったそいつは、俺があげた乾パンを齧りながら、軽く……本当に、今まで辛くなどなかったと言わんばかりに軽く、俺に今までのことを話してくれた。
強い、と思った。俺なんか、過去なんてすぐに消してしまいたいくらいなのに。
「……強いな。お前。」
「だって辛気臭え面してたって、何も変わんねえだろぃ?ほら、ジャッカルも笑えよ!」
にっと笑ったあいつを見て、その明るさに感服した。
それ以来、俺とブン太はよくつるむようになった。
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作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2016年3月1日 20時