椿、深き翠に落つる。【庭球浪漫/立海/男主】 (ページ13)

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あいのこの記憶ページ13

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昔から、俺はあいのこと呼ばれ、馬鹿にされた。

日本人のくせに、褐色の肌。俺には父親も母親もいなかった。多分、捨てられたんだと思う。

どうせ、俺は真っ当に生きたってろくなことがないんだ。そう思い出したのは、いつだったか。

そこから、俺は悪党の一人になった。盗み、殺し、何でもやった。

いつしか俺は、そんな悪党どものリーダーになった。それ程に、自分の腕に自信を持っていたんだろう。

しかし、ある日。俺はヘマをやらかして、追われる身になった。

雨の中逃れ、逃れ、捕まりそうになりながらもどんどん逃げた。

ぼろぼろになって、何とか奴らを巻いて。路地の裏でへたりこんだ時だっただろうか。

こつこつと近づく足音。それはやがて、俺の近くで止まった。

「ねえ、君。大丈夫かい？」

番傘が、俺に差し出される。

顔を上げると、三つの椿のピンズが、キラリと光った。

深緑の軍服が、三つ。その中で、青髪が俺に向かって笑っていた。

それが、俺と彼らとの出会いだった。