▽ 堕ちて ページ8
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そっとベッドから抜け出して布団を片寄さんにかける。
『私も、片寄さんの事、愛してる。
だけど他の人と、どうか幸せになって』
そう耳元で囁くようにいえばふわりと寝顔が優しくなった気がした。
そしてその閉じた瞳から、涙が一筋流れ落ちたんだ。
その涙をキスで掬い取り、ふわふわな髪の毛を手のひらで感じる。
片寄さんは私達の関係に“共依存”という名前を付けた。
だけど私は違うと思う。
私がもしこの関係に名前を付けるとしたら
────────“
コーヒー色のような、コーラ色のような光に透かせばキラキラ光るその髪の毛が綺麗で、愛おしい。
────好き、大好き。
好きと大好きと愛してるが溢れて止まらない。
……ずっとこんなことをしていたら埒が明かない。と思い慌てて目を逸らす。
床に散らばる洋服を着て用意していたまっさらな便箋に願いを込めながら手紙を書いていく。
ちゃんと最後に、愛しているという言葉と、さよならの言葉を添えて。
ねぇ、片寄さん。
私達の関係って間違ってたのかな。
私達って、狂ってるのかな。
私達は──────────
パタン、と閉じたドアから放たれたのは無機質な音。
鍵を閉めてドアポストにカラン、と入れればもう二度とその部屋に戻れないということを物語っていた。
『さようなら、』
今にも泣き出しそうな空に向かって呟いた声は、誰にも届くことなく消えていった。
いつかこれで良かったと言える日が来ることを願って、私は片寄さんの前から消える事を決めたんだ。
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ゆう(プロフ) - 最高です。悲しいお話でしたけど、小説として、一つのストーリーとして、偉そうかもしれませんが世界観に浸りながら読むことが出来ました。本当に素晴らしい物語です。これからもリピして読みたいので、残し続けて下さい。 (2018年4月10日 21時) (レス) id: 83a6724a5f (このIDを非表示/違反報告)
片寄美弥(プロフ) - どんな作品でも応援してます!!!とっても楽しみです!! (2018年4月7日 20時) (レス) id: 4ae5dd86b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー(プロフ) - バッドエンド是非みたいです!楽しみにしてます!! (2018年4月7日 19時) (レス) id: 65d03deaea (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - バットエンドも読みたいです!!! (2018年4月7日 17時) (レス) id: 484fed5b4d (このIDを非表示/違反報告)
こばしり。(プロフ) - バットエンド…。作者さん、色々な意見がありますけど自分がやりたいようにすれば良いと思いますよ! (2018年4月7日 16時) (レス) id: 430ac03c68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラベン | 作成日時:2018年4月3日 22時