▽ 堕ちる ページ4
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少しだけ緩んだ僕の手を払い除けて今度は僕の胸ぐらを掴んで壁に追いやる。
玲於「なんっなんだよ、!!!!!!」
ふざけんなよ、と繰り返す玲於にもう1度だけ問い出す。
片寄「……玲於、Aは、どこにいるんだよ、」
玲於「意味わかんねぇ、なんなんだよ、」
片寄「玲於!!!!!!!」
ヴォーカルだから声が大事とか言うけど今はもうどうでもよかった。
頭の中はAのことでいっぱいで今にも叫び出したかった。
僕の胸ぐらから手を離してへなへなと床に座り込んだ玲於が小さな声で
玲於「…夜9時、…××駅前、」
そう言ったんだ。
僕は出口を目指して走った。
後ろで玲於の叫び声が聞こえたけれど気にしないで走った。
必死で、Aの事を想いながら走った。
今、どんな思いで玲於を待ってる?
玲於じゃなくて僕が来たって知ったら君は驚くかな。
なんで玲於じゃないのって怒るかな。
なんで?って呆れて笑うかな。
それとも───────
それで僕は見つけたんだ。
星ひとつ無い真っ黒な空を見上げて泣いているAを。
月明かりに照らされて涙がキラキラ光るその横顔はどんな世界の景色よりも、どんな絵画よりも、どんな夜景よりも綺麗で。
僕が惚れた君は、世界で一番美しい。
久しぶりに見たAは少し痩せていて目の下にクマを作っていたけれど、綺麗な髪の毛とか、細い手足とか。
……僕の大好きな、愛おしい彼女がそこにいる。
涙が溢れてきそうなのを必死に耐えて彼女を独り占めするように、腕の中へ包み込んだ。
片寄「──────見つけた、」
愛する人をこの手で触れられることが、どんなに幸せな事なのか。
今の僕ならわかる気がした。
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ゆう(プロフ) - 最高です。悲しいお話でしたけど、小説として、一つのストーリーとして、偉そうかもしれませんが世界観に浸りながら読むことが出来ました。本当に素晴らしい物語です。これからもリピして読みたいので、残し続けて下さい。 (2018年4月10日 21時) (レス) id: 83a6724a5f (このIDを非表示/違反報告)
片寄美弥(プロフ) - どんな作品でも応援してます!!!とっても楽しみです!! (2018年4月7日 20時) (レス) id: 4ae5dd86b4 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティー(プロフ) - バッドエンド是非みたいです!楽しみにしてます!! (2018年4月7日 19時) (レス) id: 65d03deaea (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - バットエンドも読みたいです!!! (2018年4月7日 17時) (レス) id: 484fed5b4d (このIDを非表示/違反報告)
こばしり。(プロフ) - バットエンド…。作者さん、色々な意見がありますけど自分がやりたいようにすれば良いと思いますよ! (2018年4月7日 16時) (レス) id: 430ac03c68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラベン | 作成日時:2018年4月3日 22時