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伍拾弐 ページ5

と、まあ鎹鴉ちゃんと戯れていると、誰かの気配が近づいてきた。気配は私の部屋の前でとまる。
え、誰?

その人は重く、扉を叩いた。

「は、はーい。どうぞ。」

私は中に入ってきた人物を見て目を見開いた。

その人は

風柱だった。
ほぼ完治したはずの傷が少しむずむずした。

「…夜遅くにすまねェ。」
「い、いえいえ!別に全然大丈夫ですよ?そこの椅子座ってください!」

大人しくベッドの隣の椅子に腰掛ける風柱。

数秒の沈黙。
いや、怖いんですけど、?
だ、だって風柱って怖いっていう噂がもうあちこちに溢れているんだよ?柱合会議の時も、こ、怖かったし…

沈黙を破ったのは目の前に座る、傷だらけの男。

「…この前は本当に申し訳なかった。」

…なんと、この風柱、しゃ、謝罪したぞ!
柱合会議の時から、もうこの人の視界に入るだけであの世へ行けるのではないかとも思っていた程、恐ろしい雰囲気を漂わせていたというのに。

しかし、不死川さんは眉を下げ、本当に申し訳無さそうな表情をしている。
その表情に、こちらまで胸が痛くなる。

…わ、私、申し訳無さそうな表情が苦手なの!!

「あ、謝らないで下さい!!
あれは勝手に飛び出た私も悪いですし、不死川さんはわざと私を刺したわけじゃありませんよね?」
「あァ…。」

傷のついた顔を俯かせる不死川さん。

「私は全然気にしてませんし、これは明確な答えがあるような問題ではないと思っていますので!本当に気にしないで下さい!

それに、不死川さんってもっと怖いと思っていたのに、意外と優しくて、見直しちゃいました…

…って、あ!!今のは忘れて下さい!!」

不死川さんの瞳が揺れた。
夜の冷たい空気が肌を撫でる。
ま、まずいこと言っちゃったよね…?
どうしよう!

汗が吹き出て、心の臓がドクドクと脈打つ。



しかし、不死川さんは、笑っていた。

「そうかァ、お前ェは優しい子だなァ。」

そう言って、私の頭を優しい手付きで撫でる不死川さん。

「っ、すまねェ。昔の家族と、重ねちまった。」

なんだろう、この感覚。
全身の血が騒いでいる。脳が割れるように痛い。
頭を抱え込んで下を向く。

“Aは優しい子だねえ”

ふと、頭に誰かの声が響く。不死川さんじゃない。
っ、誰の声?これは、私の記憶…?
分からない、どれだけ考えても。
何か忘れてはいけないものの様な気がする。



気がついたら、頬には一筋の涙が光っていた。

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美雨音トウカ - なずなさん» そんな風におっしゃって下さるだなんて、とても嬉しいです!モチベーション凄くあがります…!これからも頑張って更新しますので、是非宜しくお願い致します! (4月21日 11時) (レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
なずな - 心臓が…爆発…しました……最&高です!!! (4月14日 16時) (レス) @page19 id: f22ade9e4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨音トウカ | 作成日時:2024年3月20日 0時

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