弐拾弐 ページ23
な、なになになに、
どういうこと？
何故時透くんの顔がこんなに近距離にある。
何故時透くんの匂いがこんなに近くで感じられる。
…何故姫抱きされている！？
「と、ととと時透くん！？な、にしてるの？」
私の心の臓はバクバクしているというのに、彼はいつもと同じ、涼しい顔で口を開く。
「なにって、君が蝶屋敷に行かないって言うから。そのままだと傷が悪化するし。無理矢理連れて行くしかないでしょ。」
「えええ、え、でで、でも」
「投げ捨ててほしいの？」
「なんでもございません。」
それは本当に女の子に向かって言う言葉ですか。
まあ、立場的に時透くんの方が上だから何も言えないけれど。
それにしても、なんで時透くんってこんなに美少年なんだろう。下から見ても格好良い時透くん。
…何をしても、私の心の臓の音が早まるばかりだ。
しかし、時透くんの腕の中で揺れる感覚に、次第に瞼が重くなる。
しばらくして、呼吸が止まる感覚がする。
いつの間にか時透くんの腕の中で眠っていたらしい。
瞼をあげると、時透くんの瞳がこちらを見つめていた。
…格好良っ。
「あ、やっと起きた。本当、君って……
いや、なんでもない。」
「え、なにそれ気になる！なんて言おうとしたの！？
っていうか、時透くん、私の鼻つまんだ！？」
「うん。」
いや、「うん」て、そんな当たり前みたいな顔をされても。
今どきの男子は女の子の鼻を摘むのだろうか。
…私が流行りに乗れていないだけなのか。
「ほら、蝶屋敷着いたから、蟲柱さんのところ行ってきなよ。」
まるでここからは一人で行けと言うような口調だ。
「えぇ、時透くんは来てくれないの？」
「行くわけ無いでしょ。どうして君についていかないといけないの。運んできてあげただけ感謝してよね。」
少し顔をしかめて言う時透くんに、どうにかして来てくれないか、訪ねる。
…いや、本当に痛いの、しのぶちゃんの消毒。時透くんがいないと私、頑張れない。
「ええー、どうしても、駄目？」
「うん。」
「うーん、後でふろふき大根作るって言っても？」
「…」
時透くんが手を顎に当て、悩む素振りを見せる。
「まあ、ふろふき大根作ってくれるなら、行ってあげても…」
「やったぁぁ！ありがとう時透くん！って、痛、！」
嬉しすぎてはしゃいでおり、腕に怪我をしていることをすっかり忘れてしまっていた。お恥ずかしい。
「…ほら、怪我してるのに騒ぐからだよ。とにかく蟲柱さんのところ行くよ。」
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美雨音トウカ - ふゆさん» 申し訳ありません！！教えて下さって本当にありがとうございます…！へなちょこ作者で申し訳ないです。そして何度か読んでいただけてるだなんて、もう胸が嬉しさでいっぱいです…！本当にありがとうございます！ (5月6日 9時) (
レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ(プロフ) - 初コメント失礼します。とても素敵な作品で何度か読ませていただいています。ただ参拾弐が抜けているのでもし非公開にしてるなら公開お願いします🙇♀️ (5月3日 19時) (レス) @page33 id: 2415585283 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美雨音トウカ | 作成日時：2024年2月28日 23時
