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story8 ページ9

A達は人気の無い夜の倉庫街で、連絡したタクシーが来るのを待っていた

「……国木田さん、ひとつ質問しても?」

「なんだ」

「何故、六蔵少年の面倒を見てるんですか」

国木田が視線を少し此方に向ける

「失踪者の足取り調査なんて探偵社でも出来そうですし、今日のことも電話で済むと思うんですが……」

国木田は難しい顔をして黙ってしまった

「……話の中にででいた彼のお父さんと何か関係でも?」

その表情を見てAは確信する

──中りだ

そして、国木田は話してくれた

嘗て、警察と協力してある犯罪者を追っていたこと

探偵社が追跡の末、犯人の潜窟を見つけ出し市警に報告したこと

しかし犯人が此方の動きに勘づき、大量の高性能爆薬を抱えて潜窟に立てこもったこと

混乱した指揮系統の中、五人の現場警察が集まったこと

突入し、追い詰められた犯人と共に爆死したこと

その警察官のうちのひとりが六蔵少年の父親であること

そして市警に潜窟発見の報を入れたのが国木田であること──


「……そうですか。そんなことが」


そして国木田は自分が六蔵少年に父親の代わりに拳骨を落としてやらねばならない、と云った

「国木田君はロマンチストだねえ」

太宰が溜息にも似た苦笑を漏らす

「殺人、か……」

Aは小さく呟いた。その言葉には何の感情も滲んでいない

『ならば、希求しよう』?

『理想の世界を』?

殺している時点で理想の世界とは程遠いというのに

「自爆、ね」

もし理想の世界を造り上げたとしても、自分が居なくても良かったんだろうか

命なんて不条理に溢れ落ちていくというのに、自らそれを捨てる人も居る──

暫く三人の間に沈黙が流れる

そうこうしているうちに、目の前にタクシーがが止まった。三人揃って乗り込んでいく

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(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります! (2019年3月8日 11時) (レス) id: 6a81806e14 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - すごく面白いです!更新待ってます! (2019年3月7日 14時) (レス) id: d88528ecc4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年5月25日 21時

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